1995 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下の熱レンズ法による光励起分子の酸素消光の研究
Project/Area Number |
06640664
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
田中 富士雄 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (60109874)
|
Keywords | 熱レンズ法 / 高圧力 / 酸素消光 / 一重項酸素 / アントラセン |
Research Abstract |
1.高圧下の熱レンズ法の測定装置の完成が本研究の第一の目標である。高圧システムに関しては、前年度、一万気圧までの圧力発生が可能な高圧ポンプと、高圧下での光学的測定が可能な四方サファイア窓付きの高圧容器を設計購入した。今年度、高精度の圧力測定が可能な圧力計を購入した。光学測定システムに関しては、前年度準備した励起光源としての窒素レーザー、プローブ光としてのヘリウム-ネオンレーザー、光電子増倍量、信号増幅器、トランジェントメモリー、パーソナルコンピューターに加え、今年度ビームスプリッターや精密光学ステージ等を購入した。このようにして、装置の一応の完成を達成した。 2.製作した装置を用いて、熱レンズ信号の測定の検討を行い、種々の問題点を解決中である。 (1)励起光の強度の空間的均一性が信号の再現性に重要であり、窒素レーザーの光学系を改良中である。 (2)励起光とプローブ光のフォーカス点、試料溶液、ピンホール、光電子増倍管のそれぞれの位置関係が、信号の強度にきわめて鋭敏であるため、ビームスプリッター、ミラー、レンズ等を光学ステージに配置して精密な光学系を構築中である。 (3)熱レンズ信号の速い成分と遅い成分を明確にするために、信号増幅器の時間分解能の向上を図っている。 (4)プローブ光として用いている現有のヘリウム-ネオンレーザーの強度安定性が不十分であり、半導体レーザー等の他の光源を現在検討している。 (5)高圧の試料セルの設計、試作を種々試み、セルの形状と耐圧性や信号強度との関係を検討している。 3.現状ではいくつかの問題点が残されているが、高圧下の熱レンズ信号の測定が可能となった。今後、本研究課題であるアントラセン化合物の酸素消光についての測定を行う予定である。
|