1994 Fiscal Year Annual Research Report
プロキラルなエノラートへの不斉プロトン化に関する研究
Project/Area Number |
06640676
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小杉 紘史 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (80006329)
|
Keywords | エナンチオ面選択性 / 不斉プロトン化反応 / β-ヒドロキシスルホキシド体 / エピバチジンアルカロイド / 不斉合成 / プロキラルエノラート面 |
Research Abstract |
本研究は新規不斉プロトン化剤の設計とそれを用いる効率的なエナンチオ面選択的不斉プロトン化を追及し実用的プロセスになるまでに高選択性を得ること、更に本反応を利用してエピバチジンアルカロイドを不斉合成する事を目的として以下の結果が得られた。 ○金属エノラートへのエナンチオ面選択的プロトン化における不斉プロトン化剤の最適化と一般性: プロトン化剤としてトリフルオロβ-ヒドロキシスルホキシド体がその酸性度並びに不斉認識におけるコンフォメーションの関係から最高のエナンチオ面識別能(97%e.e.)をもつことを明らかにした。このエナンチオ面選択性は現在のところ世界最高の値である。更に種々の置換基を有するシクロアルカノン体について不斉プロトン化を試み本反応が一般性を示すことを明らかにすることができた。 また,ラセミ体のα-アルキルシクロアルカノンのシリルエノールエーテル体も使用できることを明らかにし,基質となる側のシクロアルカノンの環の大きさ及び環上の置換基がエナンチオ面に及ぼす効果を検討した。 ○不斉プロトン化反応における高エナンチオ面選択性の発現機構の解明: 本不斉プロトン化反応が六員環エノーラートにおいて非常に高い選択性を示すことから,その基質のコンフォメーションの影響を調べ,本反応の特異性を明らかにした。 ○エピバチジンの不斉合成: 上記の不斉反応の有用性を立証するため最近絶対構造が決定されたモルヒネの数百倍の鎮痛,麻酔作用を示すことから注目されているアルカロイドのエピバチジンの不斉合成を行い,ラセミ体での合成経路を確立し,現在,光学活性体の合成を完成しつつある。 なお,本研究遂行中に自己会合に基づく分子認識によるアキラルなカラム上での光学分割という珍しい現象を発見することができたことを付記しておく。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Hiroshi Kosugi,Kunihide Hoshino,Hisashi Uda: "β-Hydroxy sulfoxide Derivatires as a Powerful Protonating Reagent" Proceedings of the 16th International Symposium on the Organic Chemistry of Sulfun. (印刷中).
-
[Publications] Hiroshi Kosugi,Kunihide Hoshino,Hidetaka Kohno,Hisashi Uda: "Asyoumetvic Protonation of Prodiral Liteium Enolates with Chiral β-Hydroxy Sulfoxides" J.Org.Chem.(発表予定).
-
[Publications] Hiroshi Kosugi,Ryota Hatsuda,Yoshito Abe,Hisashi Uda,Michiharu Kato: "Total Syntheis of Epinatidine" Tetrahedron Lett.(発表予定).