1995 Fiscal Year Annual Research Report
末端二重結合上での高選択的不斉誘起反応の研究-2位に不斉中心をもつ1級アルコールの高選択的合成反応の開発
Project/Area Number |
06640698
|
Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
光延 旺洋 青山学院大学, 理工学部, 教授 (90082792)
|
Keywords | ヒドロボレーション-酸化 / 糖質化合物 / 不斉誘起 |
Research Abstract |
1. 2-(ヒドロキシメチル)-2-プロペニル基をもつ各種の化合物およびその水産基に各種の置換基を導入した誘導体、たとえば、メチル-3, 4-ジ-O-アセチル-5-O-t-ブチルジフェニルシリル-2-デオキシ-2-C-(2-ヒドロキシメチルプロペニル)-α-D-イドピラノシド(1)、および1の側鎖ヒドロキシメチル基にアロイル基を導入した一連の誘導体を、Ru_2Cl_4[S-(-)-BINAP]_2NEt_3を触媒として水素化する反応を検討した。その結果、水産基に導入したアロイル基が、反応の立体選択性を向上させることを明らかにした。 2.メチル4, 6-O-ベンジリデン-3-O-ベンジル-2-デオキシ-2-C-(2-メチル-2-プロペニル)-α-D-アルトロピラノシドをBH_3・SMe_2や8, 8'-位に嵩高い置換基(i-Bu, t-Bu, Ph, Ph_3Si)をもつ一連のジベンゾジオキサボレピン(2)誘導体を用いてヒドロボレーション-酸化したところ、生成したアルコールのジアステレオマ-過剰率は7〜11%deで、2の嵩高い置換基の立体選択性への効果は見られなかった。また、対応するイドピラノシドについても、同様の結果が得られた。一方、メチル5, 6-ジ-O-シクロヘキシリデン-2, 3-ジデオキシ-3-C-(2-メチル-2-プロペニル)-β-D-アラビノヘキソフラノシドをBH_3・SMe_2および8, 8'-ジ-t-ブチルジベンゾジオキサボレピンを用いてヒドロボレーション-酸化したときには、対応する3-デオキシ-3-C-(2-メチル-3-ヒドロキシプロピル)フラノシドが、それぞれ37%deおよび62%deで得られ、この場合には、2の8, 8'-位の嵩高い置換基が反応の選択性に影響していることが分かった。 3. 1および2で述べた反応で生成する3-ヒドロキシ-2-メチルプロピル基のキラル中心の立体配置を決定するため、(R)-または(S)-3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸メチルから(R)-または(S)-3-ベンジルオキシ-2-メチルプロピルクロリド(3)を合成した。化合物3は容易にグリニヤール試薬に変換できるから、メチル基が結合した不斉炭素原子をもつ炭素骨格合成の際の合成ユニットとして有用であると考えられる。 4.上記2で述べた反応を利用して、いくつかの16員環マクロリド抗生物質に共通なC-1〜C-10炭素骨格と等価な化合物を合成した。
|