1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640708
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Research Institution | Gunma College of Technology |
Principal Investigator |
赤羽 良一 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (70184091)
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Keywords | カチオンラジカル / 脱プロトン化 / 酸素化反応 / 光電子移動 / ピリリウム塩 |
Research Abstract |
本科学研究費補助金により、当該年度において以下の成果を得た。 1)9、10-ジヒドロアントラセンの電子受容性増感剤存在下での光酸素化反応において、増感剤が2、4、6-トリフェニルピリリウム塩(TPP)の場合と9、10-ジシアノアントラセン(DCA)の場合とでは反応の様相が異なり、特にアントロンの生成機構が両者で全く異なっていることを示す知見を前年度に得ていたが、これについて更に検討を加え、学術雑誌に速報として報告した。 2)1)では、電子受容性増感剤を用いた系でカチオンラジカルの研究を行ったが、化学酸化剤であるアミンカチオンラジカル(トリス(4-ブロモフェニル)アミニウムヘキサクロロアンチモネート)を用いて、9、10-ジヒドロアントラセンについてカチオンラジカルの発生と反応を試みた。その結果、この化学酸化剤では、9、10-ジヒドロアントラセンの1)で見い出されたような効率的な反応は見られなかった。この事実は、他の電子供与体(オレフィンなど)でこのアミンカチオンラジカルにより電子移動酸化を受けるものがある事実と対照的であり、意義ある成果である。 3)1)、2)と平行して行ったジアリールエタナ-ル(X-C_6H_4)_2CHCHO)やフルオレン、トリフェニルメタンなどの脱プロトン化しやすいと考えられる芳香族炭化水素のカチオンラジカルの反応性に関するレーザーフラッシュホトリシスによる知見をより詳細に考察するため、上記カチオンラジカルの半経験的分子軌道計算を試み、特に後者については、実験的に得た脱プロトン化の起こりやすさと矛盾しない結果を得ることができた。 以上のように、電子受容性増感剤や化学酸化剤の使用、また、理論計算の遂行など、さまざまな条件下で、研究課題に沿った成果を得た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] R. Akaba et al.,: "Deprotonation of Drganit Radical Cations, Evidence for" J. Phys. Org. Chem.,. (印刷中). (1996)
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[Publications] R. Akaba et al.,: "C-H Bond Cleavage of Organic Radical Cations." J. Am. Chem. Sol.,. (投稿予定).