1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640712
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
亀田 恭男 山形大学, 理学部, 助教授 (60202024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼杵 毅 理学部, 助手 (70250909)
植村 治 理学部, 教授 (30007166)
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Keywords | X線異常散乱法 / 溶融水和物 / ユウロピウムイオン / 中性子回折 / ハロゲン化リチウム |
Research Abstract |
X線異常散乱法がEuCl_3溶液に対して適用可能である事を実証し、データ解析法を確立する目的で、まず、2,4および6mol%EuCl_3水溶液に対して回折実験を行なった。Eu原子の吸収端に近いCu kα線を用いた実験では、約2.5倍の積算時間をかける事によりMo kα線によるデータとほぼ等価な統計精度を確保できる事が分かった。解析の結果、比較的低濃度の2mol%のEuCl_3溶液においても良好な統計精度で散乱強度の差Δ_<Eu>(Q)を求める事ができた。Δ_<Eu>(Q)のFourier変換により求めたEu^<3+>周囲の分布関数G_<Eu>(r)には、最近接Eu^<3+>…OH_2相関による第一ピークが明瞭に観測された。低濃度溶液のG_<Eu>(r)から求めた最近接距離および配位数は、これまでに報告されている値と実験誤差内で良く一致した。この結果は実験室系のX線回折装置でもEu原子に対するX線異常散乱法が充分適用可能である事を示すものである。これ等の内容について、「第17回溶液化学シンポジウム(岡山)1994」にて発表を行なった。Cu kα線を用いた実験では、観測可能なQの上限は7.7Å^<-1>に制限される。Fourier変換の際に生じる打ち切り誤差の影響を避け、正しい構造パラメータを得るめに「長距離原子対相関を採り入れたQ空間上での最小二乗fit」および「観測データと全く同条件で打ち切った理論ピークによるr空間上での最小二乗fit」による解析プログラムを開発中である。試料加熱用大面積加熱装置は、試料保持用石英セル、加熱ヒ-タおよびステンレスカバーの製作を完了し、現在性能評価中である。 Lix-nH_2O融体の中性子回折実験は日本原子力研究所2号炉のPANSI回折計を用いて行なった。10,25および33mol%LiBr各組成について、^6Li/^7LiおよびH/D同位体分率の異なる各々5種類の試料の測定を完了した、これ等のデータは現在解析中であるが、既に10および25mol%LiBi溶液について、Li^+周囲の分布関数G_<Li>(r)を導出する事ができた。これ等の結果について、現在投稿準備中である。
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