1995 Fiscal Year Annual Research Report
ボリレンを架橋配位子とする金属クラスター錯体の合成と反応性
Project/Area Number |
06640716
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下井 守 東京大学, 教養学部, 教授 (30092240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 泰朗 東京大学, 教養学部, 助手 (10262099)
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Keywords | ボリレン / ボラン / ボリル / 金属錯体 / 金属クラスター錯体 |
Research Abstract |
ホスフィンで安定化されたボリレン錯体[Co_7(CO)_7(BHPMe_3)](1)とトリフェニルホスフィンとの反応ではCo-B結合は保持されたまま,カルボニルがPPh_3で置換され、新しいボリレン錯体[Co_7(CO)_5(PPh_3)_2(BHPMe_3)](2)が生成した。2は錯体1とは対照的に真空下,室温に放置しても分解しないことからPPh_3の配位により熱的に安定化されていることが分かった.化合物1の^1H-NMRを500MHzで再測定してこれまで観測できなかったBHプロトンが4.55ppmと特徴的な低磁場に観測された.また,BH_3P(CH_3)_2CH_2P(CH_3)_2・BH_3の存在下[Cr(CO)_6]の光反応により二つのボラン部位から脱水素が起こり,B-B結合をもつ5員環ジボランが生成し,これがM-H-Bを通して4座配位子として二つのクロム部位に配位した[{Cr(CO_4}_2(BH_2BH_2PMe_2CH_2・PMe_2)]錯体(3)を生成することを見出し,結晶解析によりその構造を明らかにした.3はジメタラテトラボラン誘導体として記述できるクラスター錯体である。また[Cp^*RuCl]_4とBH_3PMe_3との反応では強固なB-P結合の解裂を伴って塩素原子の移動が起こり,クロロトリヒドロボラートイオン[BH_3Cl]^-がルテニウムに配位した錯体[Cp^*Ru(BClH_3)(PMe_3)](4)が生成した.同様にジクロロジヒドロボラート錯体も得られた.これらの錯体はB-Cl結合を有するので,複分解反応を利用して新たに金属核を取り込む可能性があり,ボリレンクラスター錯体の出発物質として期待される.
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