1995 Fiscal Year Annual Research Report
環境モニター天然有機化合物の金属捕捉能の錯体化学的研究
Project/Area Number |
06640719
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高荷 昌子 金沢大学, 薬学部, 講師 (40019667)
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Keywords | ウスニン酸 / 銅(II)錯体 / 三元系錯体 / 二元系錯体 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
地衣類は環境汚染の生物学的モニターとして近年注目を集めている。地衣類の主要有機成分としてウスニン酸などのポリフェノール化合物が知られているが、地衣類による金属イオン捕捉能が何に由来するのかは不明である。そこで、β-トリケトン構造を有するウスニン酸とその誘導体についてPd(II)錯体を合成し、構造をX線構造解析にて明らかにしてきた。Cu(II)については二元系および三元系錯体を合成し、今回、三元系Cu(II)錯体[Cu(bpy)(UA)(NO_3)(1)およびCu_2(bpy)_2(UA)-(NO_3)_2(2)]のX線結晶解析を行った。β-トリケトン基に配位した1と2の[Cu(bpy)]^<2+>はC2-C3置換基に配位しており、2のもう一つの[Cu(bpy)]^<2+>はC6-C7の置換基に配位していることが判明した。β-トリケトン基に配位している1と2のCu(II)は硝酸イオンが配位した特徴的な四角錐型の5配位であるが、2のもう一つのCu(II)は平面4配位型であり、硝酸イオンが配位していないことが明らかになった。更に、他の重金属イオンなどとの錯形成能および構造を検討した。ウスニン酸(UA)に金属イオン(Fe^<1III>、Zn^<II>、Pb^<II>、Cd^<II>、Ni^<II>、Mn^<II>、Mg^<II>、Ca^<II>)を3:1または2:1に反応して、二元系錯体[Fe(UA)_3、Zn(UA)_2、Pb(UA)_2、Cd(UA)_2、Ni(UA)_2、Mn(UA)_2、Mg(UA)_2、Ca(UA)_2]が得られた。これらの錯体のスペクトル的挙動より、金属イオンはβ-トリケトン部分で配位していると結論した。
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Research Products
(1 results)