1995 Fiscal Year Annual Research Report
無機層状空間における有機および有機金属分子の配向と反応性・機能
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06640721
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松林 玄悦 大阪大学, 工学部, 教授 (90029182)
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Keywords | 層間化合物 / 五酸化バナジウム / ジルコニウムホスフェイト / ピリジン誘導体 / ジピリジル誘導体 / スピンクロスオーバー錯体 |
Research Abstract |
1.層状構造を持つα-ジルコニウムホスフェイトの粉末をエタノール中に懸濁させ、置換基を持つキノリニウム、イソキノリニウムあるいはアクリジニウムヨウ化物塩と反応させて、これらのカチオン分子をゲストとして有する層間化合物を得た。反応は、ヨウ化物イオンの酸化により起こることがわかった。置換キノリニウムおよびイソキノリニウムカチオンを含む層間化合物は蛍光スペクトルを示した。その蛍光寿命を測定し、層間では溶液中に比べて寿命はやや短くなり(12〜26ns)、さらに、4〜5nsの短い寿命の成分も存在することがわかった。 2.種々の置換ピリジン(XC_5H_4N,X=2-Me,2,4-Me_2,3-Cl,3-Br,4-CN)あるいは種々のジピリジル化合物(2,2′-および4,4′-C_5H_4N-Y-C_5H_4N; -Y-=-S-S-,-CH=CH-,-CH_2CH_2-)を含んだエタノール中で、層状化合物であるV_2O_51.6H_2O粉末固体と反応させて、これらのゲスト分子をV_2O_51モルあたり0.15〜0.3モル含んだ層間化合物を得た。粉末X線回折から層間距離を決め、ゲスト分子はその分子長軸を層面に平行して入っていることがわかった。ピリジル窒素原子は一部プロトン化されている。層間でのプロトン化はホスト層に依存しており、層間距離の増大とともにわずかに増すが、ゲスト化合物の塩基性の強弱には依存しないことがわかった。 3.スピンクロスオーバー錯体である2-アミノメチルピリジン-鉄(II)錯体および数種類のシッフ塩基-鉄(III)錯体をNaTMS粘土と反応させて、層間化合物を得た。これらの錯体は層平面に接近して存在する。層間化合物の磁化率およびESRスペクトルを測定し、その温度変化によって、層間ではこれらの錯体は2〜3種類の環境を持ち、高スピン-低スピン状態変化は広い温度範囲において起こることがわかった。その状態変化における熱力学量を見積もった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 奥野昌二、松林玄悦: "Preparation and Spectroscopies of Layered Zirconium Organophosphonates Containing Pyridinium and its Derivative cations" Inorganica Chimica Acta. 233. 173-177 (1995)
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[Publications] 奥野昌二、松林玄悦: "Direct intercalation of pyridinium-derivative cations into the α-zirconium phosphate interlayer by a redox reaction and fluorescence behavior of the intercalation compounds" Inorganica Chimica Acta. (印刷中). (1996)