1995 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素の電解還元における反応中間種の赤外分光測定
Project/Area Number |
06640739
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Research Institution | CHIBA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
古賀 修 千葉大学, 工学部, 助教授 (60110293)
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Keywords | 二酸化炭素電解還元 / 赤外反射スペクトル / 金属電極 / 生成物選択性 / 反応中間種 / 一酸化炭素吸着種 / 銅電極 / 炭化水素生成 |
Research Abstract |
1.二酸化炭素(CO_2)を水溶液中で電解還元すると,電極金属によって生成物は大きく異なる。Pt,Ni等では,CO_2はほとんど還元されずにH_2が生成する。Hg,Pb等ではCO_2が2電子還元され,ぎ酸が生成する。Au,Ag等では同じく2電子還元されるが,COが生成する。Cuでは多電子還元され炭化水素類が生成する。赤外分光法を用いてこれらの系の吸着種,中間種を系統的に測定し,生成物選択性と表面吸着種との関係を分子レベルで明らかにすことを目的とする。本年度はAuとCuについて検討した。 2.CO生成金属:Au電極についてCO_2還元条件下での吸着種の測定を行った。CO_2還元後の二重層領域の電位で2種のCO吸着種を検出した。低波数(〜2000cm^<-1>)に吸収を有するCO吸着種は安定で酸化されにくく,高波数(〜2100cm^<-1>)のCOは容易に酸化され,また脱離する。高波数の吸着種は特定電位でのみ吸着し,CO_2還元電位では吸着しない。CO_2還元下では生成したCOは高波数CO吸着点には吸着せず,このサイトはfreeになりCO_2還元活性点として維持されると考えられる。Auが低電位でCO_2還元が進む一つの要因と考えられる。また,活性なCO吸着が起こらないので炭化水素の生成も起こらない。 3.炭化水素生成金属:Cu上の吸着CO種を赤外分光法で検出し,これがCO_2還元下で生成することを明らかにした。CO吸着種は炭化水素生成への中間種であることを示した。Ni,Fe,Au電極の吸着種の結果と合わせ考えると,炭化水素生成にはCO吸着種の存在が重要である。Cu電極においてはCO雰囲気下で特有な還元酸化波が観測されるが,赤外分光法と電気化学的方法により,この電荷移行はCOの吸着に伴うことを明らかにした。これからCOの吸着に水素が伴うことを推定し吸着構造を検討した。また,重水を用いてCO吸着種の測定を行ない,観測した2100cm^<-1>近傍の数種の吸収がCOのみによることを明らかにした。重水を用いたことによるシフトは測定できず,分光学的に水素の関与を明かにすることはできなかった。Cuへの特異なCO吸着はさらに検討する必要がある。 4.以上の結果から,水素生成金属,CO金属,炭化水素生成金属は共通してCOを生成し,生成したCOと金属との相互作用の違いが反応選択性を決定していることを明らかにした。
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[Publications] Y.Hori,: "Adsorption of CO accompanied with simultaneous charge transfer on copper single electrodes related with electro‐reduction of CO_2 to hydrocarbons." Surf.Sci.,. 335. 258-263 (1995)
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[Publications] Y.Hori,: "Infrared spectroscopy of adsorbed CO and intermediate species in electrochemical reduction of CO_2 to hydrocarbons on a Cu electrode." Electrochim.Acta,. 40. 2617-2622 (1995)