1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640745
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉村 一良 京都大学, 理学部, 助教授 (70191640)
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Keywords | タングステンブロンズ / 金属・絶縁体転移 / 超伝導 / 低次元 |
Research Abstract |
本研究では、フォスフェイト・タングステンブロンズの単結晶を合成し、その物性を調べることを目的とした。フォスフェイト・タングステンブロンズは八面体WO_6の角共有形式を1個のPO_4四面体で置き換えたものA_x(PO_2)_4(WO_3)_<2m>や2個の四面体P_2O_7で置き換えたものA_x(P_2O_4)_2(WO_3)_<2m>など様々な物質があり、これまでのところ主としてその特異な構造に興味を持たれ物質探索や電顕観察などを中心に研究が行われてきているが、構造から低次元性物性の出現が期待される。電顕観察などではm=10程度のものまで確認されているが、単相のバルク試料としてはまだm=7、8程度までしか合成されていない。本年度では、購入したプログラマブル・デジタル温度調節器を用いて、酸素高圧下で合成のできる反応装置を作製し、様々なA,mについて化学輸送法による単結晶の合成を試みた。現在のところ、A=Na,Kについてm=2〜8の範囲で合成に成功している。m=2,3についてはPO_4の空隙が大きいため(通常は六角形だがこの場合には八角形)AがCs,Baで合成することができた。電気伝導性に関しては、Aはドープしていない場合は絶縁体で、ドープすると金属伝導を示すようになり、ドープ量に応じて、低次元物質特有の金属・絶縁体を示す試料が存在することが明らかになってきた。また、スクイッド磁束計による磁化率測定の結果、局在スピンを発生した場合に観測されるキュリーワイス則を示すものがあり、現在、電気的滴定分析による酸素量の同定、核磁気共鳴によるナイトシフトや緩和時間の測定を行っているところで、構造・ドープ量・物性の関係を検討して発表していく予定である。現在のところ、成果の発表は準備中であるが、本研究で作製した合成装置を用いて試験的に合成に成功した高温超伝導体の系(La_<1+x>Ba_<2-x>Cu_3O_y)およびその関連物質(PrBa_2Cu_3O_y)についての成果報告を行っているので、次ページに記す。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] M.Kato et al.: "The Coulometric Determination of Average Valence of Prin PrBa_2Cu_3O_y" Physica C. 235-240. 815-816 (1994)
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[Publications] K.Yoshimura et al.: "Copper NQR and NMR of the PrBa_2Cu_3O_<6+δ> System" Physica C. 235-240. 1701-1702 (1994)
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[Publications] K.Yoshimura et al.: "Superconducting Properties of the La_<1+x>Ba_<2-x>Cu_3O_y System" Springer-Verlogに発表予定. (1995)