1995 Fiscal Year Annual Research Report
簡単な分子構造を持つ強誘電性液晶モデル物質の合成と物性
Project/Area Number |
06640758
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中村 尚武 立命館大学, 理工学部, 教授 (10066722)
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Keywords | 液晶 / スメクチック液晶 / 長鎖化合物 |
Research Abstract |
前年度の結果を参考にして、試料のキラル部分を(S)-(+)-2-オクタノールに替えて、これと炭素数が20から24の直鎖長鎖状脂肪酸とのエステル5種類を合成し、熱分析、偏光顕微鏡観察、X線回折実験、誘電分散測定等の実験を行った。その結果、偏光顕微鏡観察では液晶相特有のテクスチャーは認められなかったが、X線回折写真や誘電分散の結果から、観測された高温相が高次のスメクチック相である可能性が高いと判断した。誘電率の変化には強誘電体的挙動は観測されなかったが、液晶モデル物質であるとの立場から、得られた結果の一部を平成8年3月日本化学会第70春季年会(東京)で発表する予定である。 また、炭素数が16のジオールについて、X線回折および誘電率測定を行ってこの化合物の示す高温相が分子回転相であることを明らかにした。また、炭素数16のジ臭化物の単結晶構造解析を行ってその構造を決定すると共に、炭素数16のジオール等の構造解析結果を併せて、いわゆる"く"の字型分子配置について考察した。これらの結果は論文として公表した。なお、この"く"の字構造は強誘電性液晶に見られる構造に類似しており、以後の研究にはこの点も視野に入れた。 この他、炭化フッ素鎖を含む直鎖長鎖状炭化水素分子がスメクチック相を示すという報告を参考にして、大部分の炭化水素鎖部分を炭化フッ素鎖とした直鎖長鎖状アルコール、つまり2-(パ-フルオロデシル)エタノールとキラル分子とのエステルを合成した。その際、キラル分子としてはL-(+)-乳酸を用いた。また、分子の両末端がハロゲンの場合、上に述べたように、強誘電性液晶様の分子配列をを示す事から、乳酸の水酸基を塩素化した分子とのエステルも合成した。この場合、分子の一方の端はフッ素、他方の端は塩素となる。これらの化合物は合成を終えた段階であり、現在反応混合物からの分離、精製を行っている。したがって、精製終了後物性評価を行う。
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[Publications] H. Kobayashi: "Phase Transition of 1,16-Hexadecanediol" Crystal Research and Technology. 30. 495-500 (1995)
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[Publications] H. Kobayashi: "Effect of Terminal Groups on Formation of Crystal Structure in α,ω-Disubstituted η-Alkanes" Crystal Research and Technology. 30. 375-380 (1995)