1994 Fiscal Year Annual Research Report
In-situ赤外分光法によるゼオライト細孔内のプロトンのダイナミックス
Project/Area Number |
06640760
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
若林 文高 国立科学博物館, 理工学研究部, 研究官 (30158589)
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Keywords | ゼオライト / 酸点 / 赤外分光法 / プロトン移動 / ジメチルエーテル |
Research Abstract |
我々は、今までに、メタノールをH-ZSM-5に室温で導入し昇温していくと200℃付近で赤外スペクトルの顕著な変化が見られ、H-ZSM-5に吸着したジメチルエーテル(DME)種に帰属される吸収バンドが観測されることを報告してきた。このバンドは従来の報告ではプロトン化したDME種に帰属されているが、実際にH-ZSM-5上のブレンスッテド酸点(B酸点)から吸着DME種へのプロトン移動が起きているかを本研究で検討した。 ジメチルエーテルのH-ZSM-5への単独吸着を-140〜200℃の温度範囲で赤外分光法により検討した。その実験結果およびabinitio計算の結果と併せて、われわれが200℃でのメタノール吸着で観測した赤外バンドはDME吸着種によるものであるが、プロトン化までは致らずB酸点に強く水素結合した状態に帰属する方が妥当であるとの結論に達した。また、-140℃では強い水素結合状態が観測されず、酸性のないシラノール基に弱く水素結合したDME種によるバンドのみが観測される。これらの帰属は従来のものとは異なる。また、-130℃に昇温するとこの吸着種がB酸点に強く水素結合した状態になることを見出した。一方、ガスクロを購入し、既存の閉鎖循環系に接続し、現在測定を準備している。準備が整い次第、メタノールの反応測定・赤外測定を同時に進める予定である。また、新しい赤外分光器による高精度・秒単位のスペクトル測定を準備している。 一方、ゼオライトの酸点のプローブとして我々が新しく報告した窒素分子と、従来から用いられている一酸化炭素分子を比較検討し、これらの吸着系で観測される吸収バンドの吸光係数の比を決定し、酸点を定量する指針を与えた。この結果は、J.Phys.Chem.誌に投稿中である。
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