1994 Fiscal Year Annual Research Report
微小生物のPIXE分析法の開発と微量元素の濃縮機構解明への適用
Project/Area Number |
06640773
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
岩田 吉弘 秋田大学, 教育学部, 助教授 (70213296)
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Keywords | PIXE / 非破壊分析 / 生体試料 / 微小量試料 / 生物濃縮 / 甲殻類 / 海藻 / 薄膜 |
Research Abstract |
本年は、最新の多元素分析法であるPIXEを用い、これまでにない100mg以下の微少量の生物体中の主要元素からngレベルの微量元素の定量をめざした。PIXEでの微少量試料の高感度分析には、なるべく薄い試料支持膜が必要であるが、ここでは私の開発した厚さ約1000Å薄膜を試料支持膜に適用した。種々の生物体標準試料のPIXE分析実験と理論的な計算を用いての分析感度を求め、0.1ng以下の多元素を同時分析できることを確かめた。本年度開発したPIXE分析法を人工環境中で飼育した体長1mm以下の微小な甲殻類に適用した。その結果、一匹の甲殻類中の主要元素から1ng以下の微量元素まで10元素の定量に成功した。分析値の集積を行った結果、甲殻類の生長に伴い、生体中の元素組成、特にカルシウム量が変態等の生長過程で変化することがわかった。一方、甲殻類の餌となる海産のクロレラの飼育と乾燥処理の基礎検討を行った。 本年は極薄い試料支持膜を用いるPIXEで、これまでにない100μg以下の微少量の生物体中の主要元素からngレベルの微量元素の定量に成功した。このPIXE法の分析感度を求め、その結果を学術雑誌(International Journal of PIXE,4(1994)1-7)に報告した。本年度はPIXE分析法を人工環境中で飼育した体長1mm以下の微小な甲殻類に適用できたか、目標とする人工飼育した藻類の多元素分析のあしががりとなるものと評価できる。また微小な甲殻類において、生体中の元素組成、特にカルシウム量が変態等の生長過程で変化することが初めてわかった。
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