1994 Fiscal Year Annual Research Report
金属キレートとプロトンドナーの水素結合会合体の生成に基づく新規な協同効果抽出法
Project/Area Number |
06640775
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
井村 久則 茨城大学, 理学部, 助教授 (60142923)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 弘三郎 茨城大学, 理学部, 教授 (60007763)
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Keywords | キレート / プロトンドナー / フェノール類 / 水素結合 / 水素結合会合 / 協同効果抽出 |
Research Abstract |
1.最も基本的なβ-ジケトンであるアセチルアセトン(Hacac)を選び,Al(III),Ga(III),In(III)の抽出に対する3,5-ジクロロフェノール(DCP)の効果を,抽出平衡解析のほか,^1H-NMR,本研究で導入したFTIRを用いて研究した.いずれの元素もそのトリスアセチルアセトナト錯体に3分子までDCPが会合し,元素の抽出性を著しく高めることを見いだした.NMRとIRによりその会合がDCPの水酸基の水素原子と錯体中の配位酸素原子間の水素結合に基づくことを明らかにし,また,抽出平衡解析とIRより得られた会合定数がよく一致することを確かめた。会合定数はAl【similar or equal】Ga>Inとなり,またHacac単独による抽出定数はGa>Al>Inであることから,この新しい協同効果抽出においては水素結合によって元素の抽出性だけでなく選択性も向上することを明らかにした. 2.8-キノリノール,8-キノリンチオール,2-ニトロソ-5-ジエチルアミノフェノール,ジエチルジチオカルバミン酸などのCo(III)錯体を合体し,クロロホルム中でのこれらの錯体と一連のニトロフェノール類との水素結合をFTIR並びにNMRを用いて研究した.錯体の共存によるフェノール類のOHの吸光度変化とOHプロトンの化学シフトの変化との間に良い相関性があることを見いだした。また,水素結合はフェーノール類のpKaの低下につれて起こり易くなることを明らかにした. 以上のほか,オキソモリブデン(V)-8-キノリノール誘導体の2核錯体が水素結合性のクロロホルムに特異的に分配し易いことを見つけており,今後,オキソ錯体の水素結合と協同効果に関しても研究する予定である.
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Research Products
(1 results)