1995 Fiscal Year Annual Research Report
高速液体クロマトグラフィーによる錯形成反応の速度論的解析に関する研究
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06640776
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渋川 雅美 千葉大学, 工学部, 助教授 (60148088)
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Keywords | 高速液体クロマトグラフィー / 配位子交換反応 / 平衡定数 / 速度定数 / アルミニウム / オキシンスルホン酸 |
Research Abstract |
平成7年度は、アルミニウムイオンのオキシンスルホン酸(HQS)錯体とリン酸イオンおよびフッ化物イオンとの配位子交換反応の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による速度論的解析を行なった。カラム充填剤としては、使用可能なpH範囲の広いポリスチレンゲルを使用し、逆相イオン対モードでのアルミニウム錯体の保持挙動を検討した。 1.リン酸イオンならびにフッ化物イオンを含む移動相を用いると、他の金属イオンは単一のピークを与えたのに対して、アルミニウムは2つ以上のピークを示した。それぞれのピーク面積の比に及ぼす移動相中のHQS濃度およびリン酸イオンまたはフッ化物イオンの効果を解析して、これらのピークはHQSとこれら無機イオンとの混合配位子錯体であることを明らかにするとともに、その組成を決定した。また、錯体種相互の間の転換反応、すなわち配位子交換反応の平衡定数を求めた。 2.上記の配位子交換反応の速度定数を、反応時間とピーク面積との関係を理論的に解析することによって求め、さらにその結果に基づいて反応機構を推定した。 3.フッ化物イオンを移動相に添加することにより、配位子交換反応を利用してアルミニウムとガリウムを完全分離することに成功した。 4.現在までのところ、活性化エネルギーの測定には至っていない。また、アルミニウム-オキシンスルホン酸錯体よりも配位子交換反応速度の大きな錯体についての速度論的解析の研究は緒についたばかりである。今後はこれらの研究を展開して行く予定である。
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