1994 Fiscal Year Annual Research Report
生体関連物質の電気化学的測定法の開発とその非水溶液系への応用
Project/Area Number |
06640778
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 俊夫 信州大学, 理学部, 助教授 (00020678)
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Keywords | 生体関連物質 / 酵素・補酵素 / 酸化還元反応 / 電子移動反応 / 高分子膜電極 / 水溶媒ボルタンメトリー / ヘキサノールの酸化 / 色素蛋白質 |
Research Abstract |
本研究課題の目的を達成するため以下の研究を行ない,次に示す研究成果を得た。 1)親水性高分子であるポリアクリルアミドを用いて薄膜修飾電極を構成し,サイクリックボルタンメトリー(CV)によりボルタモグラムを測定した。PQQ,NADH,ADH,カタラーゼを高分子内に含有させ,アセトニトリル溶液中に被酸化物質としてヘキサノールを溶存させた場合,-0.1V vs.Ag/Ag^+において還元波を見出し,この波高とシロヘキサノール濃度との関係は0〜0.2mol dm^<-3>の範囲で直線となり,より高濃度(2mol dm^<-3>)では電流値が飽和する傾向を示した。この他PQQあるいはカタラーゼが共存しない場合についても検討し,ヘキサノール酸化反応へのPQQおよびカタラーゼの著しい効果を認めた。これらによりこの測定系で酸素反応が進行することを確認した。また,一連の反応における各化合物の役割およびそれぞれの酸化還元および電子伝達に関して詳細な知見が得られることが判明した。 2)鉄元素を含むブレオマイシン,チトクロームC,カタラーゼ,ヘモグロビンのいずれかを膜内に含有させそれぞれのCVを測定した。それらの酸化還元電位はこの順序で正側にシフトした。 3)AN中のNO,およびANAPからのNO,さらにNO_3^-についてCVによって検出が可能であることを確認した後,PAAにヘモグロビンを含めた膜電極について,AN中のNOおよびSNAPのCV挙動を調べた。この結果,ヘモグロビンによるNOのNO_3^-への酸化反応が進行している可能性を見い出した。また,検出された電流ピークの電位掃引速度への依存性について調査し,生成したNO_3^-は高分子膜外のアセトニトリル中へ拡散していることが判明した。
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