1994 Fiscal Year Annual Research Report
環境試料中のリンの化学形態別定量を目的とする価コバルト迅速前処理法の研究
Project/Area Number |
06640789
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
田中 秀治 徳島大学, 薬学部, 助教授 (40207121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 研作 徳島大学, 薬学部, 教授 (10101049)
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Keywords | 3価コバルトイオン / 前処理 / リン / 有機リン / 吸光光度定量 / 化学形態別定量 / 酸化分解 / 環境試料 |
Research Abstract |
各種リン化合物の吸光光度定量のための3価コバルトイオン(Co^<3+>)による前処理をバッチ法で検討した。5M硫酸酸性の0.2M-CoSO_4溶液の電解によって約0.16MのCo^<3+>溶液を調製し、1mg dm^<-3>(as P)のリン化合物を含む試料溶液と体積比1:5で混合して前処理を行ったのちリンを定量した結果、以下のような新たな知見を得た。 1.有機リン(C-P結合を有するアルキルホスホン酸やアルキルホスフィン酸、およびC-O-P結合を有するリン酸モノエステル)はCo^<3+>によって常温で短時間(<10分)のうちにPO_4^<3->へと変換できた。しかし分子内に縮合リン酸基を有するADPやATPについては40-50%程度の分解率しか得られず、100%の分解率を得るためには3項に示す加温前処理が必要であった。 2.低酸化数無機リン(ホスホン酸およびホスフィン酸)は、Co^<3+>処理により完全にPO_4^<3->へと変換できた。 3.縮合リン酸(二リン酸ナトリウムおよびトリポリリン酸ナトリウム)はCo^<3+>前処理によって30%程度しか分解されず、ほぼ完全にPO_4^<3->に変換するためには前処理時に95℃付近まで過温する操作が必要であった。 本前処理法は種々の有機・無機物が通常濃度で共存しても全く妨害を受けなかった。 5.前処理に用いたCo^<3+>およびこれが還元されたCo^<2+>は、それに引き続くモリブデンブルー吸光光度法によるリン定量に全く干渉を示さなかった。 6.本法を河川水等の実試料の分析へと適用したところ、公定法の全リン定量法とほぼ同程度の分析値を得た。 7.本法はその簡便性・迅速性ゆえ、有機リンあるいは全リン定量のためのフローインジェクション分析システムにおけるオンライン前処理に十分応用が可能であると結論した。
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