1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640790
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 和久 九州大学, 理学部, 教授 (80112291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 史郎 九州大学, 理学部, 助手 (10219404)
宮崎 義信 福岡教育大学, 教育学部, 助手 (50253365)
武村 裕之 九州大学, 理学部, 助手 (60183456)
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Keywords | ホウ酸選択性高分子 / ポリオール / デキストラン / 架橋デキストランゲル / ロファデックスゲル / ホウ素-11NMR / 吸着 / 錯形成 |
Research Abstract |
ホウ酸-デキストラン、架橋デキストラン(Sephadex)錯生成系についての^<11>B NMRスペクトルの解析から、次のことがわかった。 (1)デキストラン、架橋デキストラン中のα‐D‐グルコピラノシル残基のα、γ位(2、4位)のOH基およびα、β位のOH基とB(OH)_4の間の脱水縮合が関与した錯体の結合異性体が存在する。 (2)B(OH)_4はグルコピラノシル残基と反応して1:1および1:2錯体を生成する。 (3)架橋デキストランでは、α、β位のOH基と結合した1:1錯体の生成がより進行し、架橋度が高いほどそれが有利である。デキストランが架橋されることで、錯生成に都合のよい反応場が形成されたことになる。 さらに、架橋デキストランゲルであるSephadexゲルについて、バッチ法により、ホウ酸の吸着性に対する濃度依存性および温度依存性について検討を行った。ホウ酸の吸着性には濃度依存性があるが、平衡溶液中のホウ酸濃度が10^5mol dm^3以下では、一定の分配比を示した。架橋度の異なるゲルへの吸着に伴うエネルギー変化は、高架橋度のゲルほど、より発熱的であった。 以上より、架橋デキストランゲルの場合、架橋によるα‐D‐グルコピラノシル残基のコンホメーションの固定がホウ酸の吸着性を増加させるが、錯形成能の異なる反応部位が複数存在する可能性が示唆された。 平成6年度には、ポリオールをマトリックスにもつゲキストランおよび架橋デキストランについて、基礎的研究を行った。デキストランゲルへのホウ酸の吸着性を、錯生成反応としてとらえることができ、デキストランに対する錯生成定数との対比から、α‐D‐グルコピラノシル残基のコンホメーション変化の自由度が錯形成に大きく関与することがわかってきた。現在、市販のポリオールを官能基とするホウ酸選択性樹脂について、同様の研究を続行中である。
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Research Products
(1 results)