1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640813
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 真 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (80204494)
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Keywords | 湿地 / パートナーシップ / 送粉様式 / 塩性湿地 / 植物 / 昆虫 / 保全 / 生態系 |
Research Abstract |
福井県敦賀市中池見湿原において湿地植物の開花フェノロジーを,4月より10月まで毎月調査した。この湿原は日本でも数少なくなった低湿地の一つであり,絶滅に瀕する植物が数多く残っている。この湿原を特徴づける花は,4・5月のサワオグルマ,6月のノアザミ,7月のヘラオモダカ,8月のオモダカ,コバギボウシ,ミズアオイ,9月のミソハギ,ミズトラノオ,サワヒヨドリ,10月のミゾソバ,オオニガナなどであった。開花の見られたこれらの植物すべてについて送粉者の調査を行なった。得られた送粉者は標本にし,ラベルをつけ,同定した。送粉者として特に顕著であったのはハナアブ類であり,このことはハナバチが卓越する森林生態系と対照的であった。しかし,カキツバタやコバギボウシのように,トラマルハナバチに送粉を託す植物も見られ,送粉共生系を維持して行くためには湿原周囲に森林環境が残っていることが必須であることが示唆された。ミゾソバは3花柱性が維持されており,この湿原の送粉者群集が豊かであることを暗示していた。この湿原の植物各種の植食者群集についてのデータも集まりつつある。 塩性湿地の植物と昆虫のパートナーシップについて,千葉県小櫃川河口,兵庫県千種川河口,山口県秋穂湾,福岡県有明海沿岸,鹿児島県甑島・奄美大島,沖縄県石垣島・西表島において調査を行なった。塩性植物の中にも,ハママツナのように満潮時には海面下にありながら潜葉虫がいるもの,ウラギクのようにハキリバチやハナアブが送粉するものなどが観察された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kato,M.& Itani,G.: "Commensalism of a bivalve,Peregrinamor ohsimai(Mollusca:Galeommatoidea),with a thalassinidean borrowing shrimp,Upogebia major" Journal of the Marine Biological Association of the United Kingdom. (in press). (1995)