1994 Fiscal Year Annual Research Report
光化学系I複合体サブユニットを欠くランソウ変異株の作成とその光合成特性の解析
Project/Area Number |
06640832
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
仲本 準 埼玉大学, 理学部, 講師 (30192678)
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Keywords | 光合成 / 光化学系I / ランソウ |
Research Abstract |
1.サブユニットK及びM遺伝子のクローニングとそれらの塩基配列の決定 Synechocystis sp.PCC 6803染色体DNAを種々の制限酵素で切断して、形質転換型ではないSynechococcus sp.のサブユニットK及びM遺伝子(このランソウでのみこれらの遺伝子の構造が明らかにされている)を放射性標識してプローブとして用い、サザンハイブリダイゼーションによる解析を行った。その結果、各々について、これらのプローブが結合する明確なバンドが一つずつ検出された。このようにしてプローブの有効性を確認した後、ショットガンクローニング法により、これら遺伝子のスクリーニングを行い、幾つかの陽性のクローンを得たので、それらの塩基配列の決定を行なっている。 2.サブユニットD、E及びF欠失変異株を用いた生理・生化学的研究 D及びE欠失変異株の独立栄養的生育が野生株やF欠失変異株よりも劣ること(特に25℃以下の温度において)、また、これらの菌株から単離したチラコイド膜の光化学系I初期反応活性に変化が生じていること、さらにD欠失変異株にはセンターA及びBと、これらのアポ蛋白であるサブユニットCが存在しないことを、ESRスペクトルやウェスタン・ブロッティング法により明らかにした。また、D及びE欠失変異株、特にD欠失変異株の生育は強光下で強く阻害され、その光合成酸素発生能が短時間(分単位)の強光照射で激減した。これらの結果は、この変異株が非常に光阻害を受けやすいことを示唆するものであり、現在その詳細を検討中である。 3.D、Eの両方のサブユニットの遺伝子を不活性化した突然変異株の作製 上記の結果から、D及びEが、ランソウの光合成や独立栄養的生育に重要な役割を果していることが明らかになった。現在、サブユニットD及びE遺伝子の両方を不活性化した変異株の作製を試みている。
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