1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640853
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
高橋 正昭 大阪府立大学, 農学部, 教授 (30027198)
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Keywords | 光合成 / 葉緑体包膜 / モノクローン抗体 / 電子伝達 / プロトンポンプ |
Research Abstract |
葉緑体包膜は、光合成系とその産物を代謝する細胞質の反応系を分けている脂質膜である。主に、包膜を構成する成分の合成系と、細胞質と葉緑体内の、例えば光合成基質、葉緑体前駆体タンパク質、または、光合成産物などの輸送に関与するタンパク質が局在している。この包膜に新たに酸化還元反応があることを見いだし、その酸化還元を触媒する成分を単離し、性質と葉緑体での機能を明らかにすることが本研究の目的である。 シトクロムc、および、フェリシアナイドが包膜酸化還元反応の有効な電子受容体となること、葉緑体の還元物質は電子供与体とならないことを認め、還元型シトクロムcの酸化活性により包膜酸化還元成分のアッセイ法を確立した。種々の界面活性剤を用いて可溶化し、精製を試みたが単離に至らなかった。そこで、モノクローン抗体を作成し、酸化還元反応を阻害する抗体を得ることによってその抗原となる包膜の電子伝達タンパク質を同定する方法を同時に試み、現在スクリーニング中である。 包膜の電子伝達を起こさせると無機炭酸の葉緑体への取り込みが促進されることを見いだした。電子伝達を駆動するエネルギーとして、電子伝達によって包膜外のpHの上昇が認められた。光照射を止め、電子伝達を抑えるとpHは低下して元の値に戻ることから、電子伝達に共役したプロトンの細胞質側への汲み出しが起こると推定した。
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[Publications] Y.Murata,et al.: "Occurrence of electron transfer reactions in chloroplast envelope mebranes and its function" (発表予定).
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[Publications] Y.Murata,et al.: "Photosynthesis:from Light to Biosphere(P.Mathis ed.)" Kluwar Academic Publishers, 4 (1995)