1995 Fiscal Year Annual Research Report
アブラナのホスファチジルコリン生合成酵素の遺伝子発現に対する生育温度の影響
Project/Area Number |
06640854
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
西田 生郎 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (40189288)
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Keywords | ホスファチジルコリン / CDP-コリン / Brassica napus / 低温馴化 |
Research Abstract |
(1)ナタネの4種類のCDP-コリン合成酵素(CCT1、CCT2、CCT3およびCCT4)の推定アミノ酸配列をKite & Doolittle(1982年)のアルゴリズムで解析したところ、他生物由来のCCTと同様に、全ポリペプチド領域にわたり親水性であることが示唆された。しかし、CCT1cDNAを酵母細胞中で発現させると、CCT活性のほとんどがミクロソーム画分に回収されたことから、CCT1は酵母細胞では(また、おそらく植物細胞においても)小胞体ないしは類似の膜画分に移行する可能性が示唆された。 (2)ナタネの器官におけるCCT1の発現をノーザンハイブリダイゼーション法により調べた。CCT1のmRNA発現レベルは、胚が根で高かったが、成熟葉ではほとんど発現がみられなかった。この結果は成熟葉のホスファチジルコリン(PC)の代謝回転が非常に低いか、あるいは、成熟葉のCCT1の遺伝子発現が翻訳後の調節を受けている可能性を示唆している。現在、(成熟)葉におけるCCT遺伝子発現(転写)が低温やその他の因子によって再び活発になる時期や条件をCCTを用いたノーザンハイブリダイゼーション法により検索中である。 (3)今後の展望:植物のPC代謝回転は、糖脂質合成の盛んな葉や貯蔵脂質生合成の盛んな胚などの器官で高く、PCは、これらの脂質の生合成中間体としての生物学的意義が注目されてきた。しかし、今後は、CCTの遺伝子発現レベルを種々の条件下で詳細に検討することにより、PC代謝回転の生合成以外の生物学的意義を明らかにしたいと考えている。
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