1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640864
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
野口 哲子 奈良女子大学, 理学部, 教授 (00135823)
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Keywords | トランス-ゴルジ網 / ゴルジ体 / タンパク質移行 / 急速凍結置換法 / 免疫電顕法 / Botryococcus |
Research Abstract |
本研究は、急速凍結置換法や免疫電顕法を用い、植物細胞のトランス-ゴルジ網(TGN)の動態を明らかにする事を目的としている。現時点で、次の成果を得た。 1.植物細胞のTGNに関する報告は、ほとんど被子植物の組織細胞に限られていたので、Tradescantia(花粉及び花粉管-被子植物)、Bryum(コケ)、Ankistrodesmus、Pediastrum、Scenedesmus、Botryococcus(緑藻)、Cyanidium(紅藻)について、TGNの存在と構造を調べた。その結果、Tradescantiaの花粉管を除いて調べた全ての細胞内にTGNが存在することが確認され、紅藻から被子植物まで、TGNが普遍的に存在することが示唆された。 2.我々が調べた細胞で、最も大型のTGNを有するBotrycoccusを用い、細胞周期を通じたTGNの動態を明らかにすることを試みた。核分裂前にゴルジ体が二分裂したのに対し、TGNの明瞭な分裂は観察されなかった。細胞分裂中、TGNは隔壁形成に関与する小胞を多数形成した。細胞壁形成後、ニュートラルレッドに染まり、酸性フォスファターゼ活性を示す液胞が出現するが、この液胞形成にTGNのMultivesicular bodyが関与することも明らかになった。以前は、ゴルジ体から直接小胞が形成されて、細胞壁形成や液胞形成を行うと考えられていたが、それらはTGNを通して行われることが判った。 3.ゴルジ体-TGNのタンパク質に対する抗体作成を行った。Euglenaから単離したゴルジ体-TGNを抗原としたポリクロナール抗体を作成でき、目下モノクロナール抗体の作成中である。これらの抗体を用いて、TGNを経由するタンパク質の移行を明らかにしたい。
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