1995 Fiscal Year Annual Research Report
減数分裂における染色体の挙動と微小管構築に関する細胞生物学的解析
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06640868
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
田中 一朗 横浜市立大学, 理学部, 助教授 (60175445)
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Keywords | 減数分裂 / 花粉母細胞 / 胚のう母細胞 / 微小管 / 一価染色体 / 動原体 / 紡錘体 / 隔膜形成体 |
Research Abstract |
本年度、主にテッポウユリ胚のう母細胞の減数分裂における微小管の動態変化をクリオスタット切片を用いた間接蛍光抗体法によって調査した。その結果、ユリ胚のう母細胞の減数分裂では隔壁形成を欠くにもかかわらず、雄性減数分裂の場合と同様、(1)前記における核膜からの放射状微小管、(2)終期における隔膜形成体微小管、(3)間期における核膜からの放射状微小管が観察された。このうち(1)は、キアズマ形成を欠く雑種のブラックビューティでは極端に弱く結果的に正常な位置に二極からなる紡錘体ができなかったことから、分裂核の位置づけや紡錘体形成に深く関与していることが示唆された。一方(2)は、隔壁の形成を完全に欠く減数第一分裂や第二分裂さらには異常減数分離でも観察されたことから、細胞板形成の機能が疑問視された。また(3)は、異常減数分裂によって生じた小核や染色体の周りにも観察され、その機能は不可解であった。 雄性・雌性の異常減数分裂における微小管構築の観察結果から、染色体の状態(一価・二価染色体)が二極からなる紡錘体の形成に重要であると考えられた。これは姉妹動原体の不分裂に起因すると推察されたので、動原体特異的抗体をもつことが知られているヒトの自己免疫病患者CREST(約20名)の血清を用いて動原体の検出を試みたが、植物細胞の動原体は認識しなかった。ところが、ユリの減数分裂期に特異的に出現する核タンパク質の抗血清が減数分裂細胞の動原体を識別できることが明かとなったので、現在この抗体を用いて動原体の挙動と微小管構築の関係を詳しく調査中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Ueda,K.: "The appearance of male gamete-specific histones gH2B and gH3 during pollen development in Lilium longiflorum." Developmental Biology. 169. 210-217 (1995)
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[Publications] 鍋谷真範: "テッポウユリ花粉発生過程におけるアミロプラストの発達と花粉粒内分布" 日本花粉学会会誌. 41(1). 13-19 (1995)
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[Publications] Miyoshi,H.: "High level of GUS gene expression driven by pollen-specific promoters in electroporated lily pollen protoplasts." Sexual Plant Reproduction. 8. 205-209 (1995)
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[Publications] Ueda,K.: "Male gametic nucleus-specific H2B and H3 histones, designated gH2B and gH3, in Lilium longiflorum." Planta. 197. 289-295 (1995)