1994 Fiscal Year Annual Research Report
特殊な力学環境下におけるアクトミオシンのダイナミクス
Project/Area Number |
06640876
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 直方 東京大学, 教養学部, 助教授 (20151326)
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Keywords | アクトミオシン / 筋収縮 / Invitro再構成系 / 太いフィラメント / 力-速度関係 / 軟体動物平滑筋 |
Research Abstract |
筋収縮の素過程であるアクトミオシンの相互作用のメカニズムを知るためには、従来から用いられてきた実験方法では調べることが困難な、特殊な力学環境下におけるアクトミオシン分子のふるまいを観察することが有用と思われる。本研究は、これまで筆者が用いてきたin vitro再構成運動系をさまざまな力学環境下に置き、アクトミオシン分子の発生する力や速度を直接測定することを目的とする。前年度の科学研究費補助により、力が負の領域ではアクトミオシンの滑り速度が力の絶対値の増加に応じて増加するという新たな知見を得た。そこで、本年度は、速度が負の領域でのアクトミオシン分子のふるまいについて知ることを主な目標として下記の実験を行った: 1)実験装置:軟体動物平滑筋より単離した巨大な太いフィラメントをポリスチレンマイクロビーズに貼り付け、車軸藻アクチンケーブル上を滑らせる系を用いた。これを遠心顕微鏡に乗せ、さまざまな方向から遠心力をかけたときの滑り速度を測定した。 2)増張力性負荷のもとでの滑り速度:遠心顕微鏡のステージの回転速度をランプ状に変える装置を作成し、増張力性負荷をかけることを試みた。この結果、過大な負荷のもとでアクトミオシンが示す一過的な挙動を観察することができ、以下の新たな知見を得た。 a)力が負の領域では、負荷(力の絶対値)の増加に伴い、滑り速度ははじめ急激に増加し、無負荷最大速度の2倍程度で一旦定常状態になり、その後再び急激に増加するという2相性のふるまいを示すことが分かった。 b)速度が負の領域(等尺性最大張力(P_0)を超える負荷領域)では、速度0を維持する力の範囲が以外に広く(P_0の約10%)、約1.3P_0で急激に速度の絶対値が増加し、約1.4P_0の負荷でアクトミオシンの結合の解離が起こることが分かった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] N,Ishii,T.Tsuchiya,H.Sugi: "Force-velocity relation in slidinig movemeuts between native thick filaments and actin cables under continuously iucreased load." J.Muscle Res.Cell Motility. (印刷中).