1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640885
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
蟻川 謙太郎 横浜市立大学, 文理学部, 助手 (20167232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江口 英輔 横浜市立大学, 文理学部, 教授 (90046003)
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Keywords | 視覚 / 色覚 / 偏光感覚 / 昆虫 / チョウ / 複眼 / 色受容細胞 / 視葉 |
Research Abstract |
初年度の研究は計画どおり順調に進み、複眼網膜の中央部に関しては非常に多くのデータが得られた。複眼中央部にある個眼で光受容細胞に細胞内電極を刺入し、分光感度と偏光感度を役100個の細胞から記録、近位視細胞は赤タイプと緑タイプがおよそ4:1の割合で存在していること、基底視細胞は赤と緑が半々であることを明らかにした(論文投稿中)。また、近位視細胞のうち背腹軸に位置するR1とR2、および基底視細胞R9が視髄まで直接軸索をのばす、いわゆる長線維であることを組織学的に確認した。R1,2が紫外、紫、青のいずれか、R9が緑か赤の受容細胞なので、ナミアゲハの長線維にはこれまでに同定されている5種の色受容細胞すべてが含まれる。この結果は、長線維が特に色情報の入口となっている可能性を示している。ハエでもいわゆる中心視細胞が長線維で、かついろいろなタイプの分光感度をもつことが知られており、ナミアゲハとの共通性が注目される。 同時に試みた複眼背側および腹側の光受容細胞には電極が非常にささりにくく、残念ながらほとんどデータが得られなかった。複眼背側および腹側では網膜層の厚さが非常に薄くなっているためと考えられる。視葉板ニューロンからの電気生理学的記録の予備実験も行ない、光刺激に対して過分極するものが比較的容易に記録されることがわかった。また記録は困難であるが、光刺激に対してスパイク応答する細胞も存在することが確認された。しかし、色素注入による細胞形態の同定には至らなかった。これらの点については平成7年度に継続して実験を行なう。
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[Publications] Arikawa K,Matsushita A: "Immunogold colocalization of opsin and actin in Drosophila photoreceptors that undergo active rhabdomere morphogenesis" Zool Sci. 11. 391-398 (1994)
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[Publications] Arikawa K,Ozaki K,Tsuda T,Kitamoto J,Mishina Y: "Two visual pigment opsins,one expressed in the dorsal region and another in the dorsal and the ventral regions,of the compound eye of a dragonfly,Sympetrum frequens" Inverteb Neurosci. 1(in press). (1995)
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[Publications] Nakagawa T,Eguchi E: "Differences in flicker fusion frequencies of the five spectral photoreceptor types in the swallowtail butterfly's compound eye" Zool Sci. 11. 759-762 (1994)
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[Publications] 蟻川謙太郎: "複眼の空間分解能テスト" 生体の科学. 45. 580-581 (1994)
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[Publications] 江口英輔: "色覚(色の弁別能力)テスト" 生体の科学. 45. 572-573 (1994)