1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06640896
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 浩子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助手 (30251482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 純多 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (80142256)
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Keywords | 光合成細菌 / 系統進化 / 16SrRNA |
Research Abstract |
Proteobacteria αグループに属する光合成細菌の系統進化を探る上で、まずα-3サブグループについて、生息環境と系統進化の関係について調べた。α-3サブグループには、Rhodobacter属とRhodovulum属が属し、これらは生息地が陸性あるいは淡水性か、海水性ということで区別されている。しかしα-3サブグループに属する光合成細菌について16SrRNA/DNAの塩基配列を決定し系統解析を行ったところ、食塩要求性の菌株で、Rhodovulum属に属さないものが見つかった。このことより、進化的に海水に生息していたものから陸場に上がってきたと考えられる。また分離株について科学分類学的性質;DNAのGC含量、キノン系、脂肪酸組成、バクテリオクロロフィル分析、カロチノイド分析を行った。その結果、大きな違いは見られなかったが、α-3に属することは明らかであり、異なる食塩濃度に対する生育試験の結果、3株とも新種であることが明らかとなった。また、光合成色素(バクテリオクロロフィル、カロチノイド)分析は、アセトン抽出し、HPLCを用い、分析したが、この方法は、簡便で色素の量比もわかることから、自然環境から分離した光合成細菌のスクリーニングに有効であることもわかった。さらに、光合成細菌の特に螺旋状細菌について系統進化を調べるために、αグループに属すると思われる非光合成細菌;Aquaspirillum属、Oceanospirillum属について16SrDNA塩基配列を決定し、既にDNAデータバンクに登録されている16SrDNAをあわせて系統解析を行った。その結果、Rhodocista属は、Azospirillum属に近縁で、Rhodospirillum fuluvumとRhodospirillum molischianumは、磁性細菌Magnetospirillum属、Aquaspirillum polymorphumに近縁で、その他光合成螺旋菌と非光合成螺旋菌は、Proteobacteria αグループに系統的に点在していた。このことから、光合成細菌は、まとまった系統ではなく、系統的に非常に多様な細菌であることが解った。また光合成細菌は、進化の過程で、光合成能を現在まで保持してきた細菌であり、他の非光合成細菌は、光合成能を脱落した細菌であると考えられた。
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