1994 Fiscal Year Annual Research Report
分子進化学的手法によるショウジョウバエ系統関係の解析
Project/Area Number |
06640906
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
青塚 正志 東京都立大学, 理学部, 助手 (40106604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 浩一郎 東京都立大学, 理学部, 助手 (00254144)
藤田 弘 東京都立大学, 理学部, 助手 (20094279)
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Keywords | ショウジョウバエ / Adh遺伝子 / 分子系統樹 |
Research Abstract |
平成6年度は、ADH(アルコール脱水素酵素)遺伝子の塩基配列を分析する手法の確立から着手した。個体からmRNAを精製し、それを鋳型にしたPCR法によってADH遺伝子のコード領域の大部分である711bpの増幅に成功した。研究の進行過程で、飼育不可能あるいは野外から極めて希にしか採集できない種の解析が必要になることが予想されるため、1-2匹のハエからADH遺伝子の増幅が可能になるまで効率を高めた。この手法により6年度は、Hawaiian Drosophilaの系統学的位置づけを検討するためのDrosophila亜属に含まれる種の分析と、ショウジョウバエ亜属間のより正しい系統関係を推定するための外群種の検索に焦点を絞った。合計11種について塩基配列を決定し、データベースから得られる既・未発表の塩基配列を加え数理統計学的解析(最小進化法による系統樹作成)を行った。その結果、(1)Hawaiian Drosophilaの起源は形態学的研究から示唆されているものと異なること、(2)Scaptodrosophila亜属がDrosophila亜属とSophohora亜属の外群となること、(3)ADH塩基配列から推定される全体的な系統関係は、Grimaldi(1990)の提唱による系統関係よりは、古典的なTrockmorton(1975)のものと近いが、いくつかの点においてThrockmortonの系統関係とも異なる、などの知見が得られた。 より近縁な種間(D.immigrans種群)の系統関係を進化速度の速いmtDNA塩基配列を用いて解析することにし、数種についてND1、Cytb遺伝子の塩基配列を決定したが、immigrans種群に分類されているいくつかの 種間の類縁関係は、同一種群に含めるほど近くはないことが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Komiya, T.Kondoh, T.Aotsuka: "Evolution of the noncoding regions in Drosophila mitochondrial DNA: Two intergenic regions." Biochemical Genetics. 33(in press). (1995)
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[Publications] T.Ohsako, T.Aotsuka, O.Kitagawa20GB02:The origins of the Japanese mainland population of Drosophila albomicans.: Japanese Journal of Genetics. 69. 183-194 (1994)
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[Publications] T.Aotsuka, M.Aruga, H.Y.Chang, F.J.Lin, O.Kitagawa: "Geographic veriation in mitochondrial DNA of Drosophila immigrans." Zoological Studies. 31. 29-33 (1994)
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[Publications] K.Tamura: "Model selection in the estimation of the number of nucleotide substitutions" Molewlar Biology and Evolution. 11. 154-157 (1994)
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[Publications] K.Kumar, K.Tamura: "MEGA: Molewlar Evolutionary Genetics Analysis sattware for microcomputers" CABIOS. 10. 189-191 (1994)