1995 Fiscal Year Annual Research Report
非タンパク性アミノ酸は系統分類の指標となるうるか-担子菌Amanita属の場合
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06640908
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Research Institution | International Cristian University |
Principal Investigator |
畑中 信一 国際基督教大学, 教養学部・理学科, 教授 (90012278)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沢 栄史 菌覃研究所, 室長 (70088839)
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Keywords | A. hongoi / A. abrupta / 2S)-2-アミノ-5-クロロ-6-ヒドロキシ-4-ヘキシン酸 / Amanita / Lepidella / Roanokenses / Solitariae |
Research Abstract |
昨年度に引続き、Amanita属Lepidella亜属Roanokenses節の菌を対象とし,未調査であったA. honogoiが入手できたので、その非タンパク性アミノ酸を調べた。炭素数5のものは微量で単離にはいたらなかったが、炭素数6からなるものは比較的多量に2種(IとII)検出された。そこで約440gの子実体をエタノールで抽出し、瀘液をアンバーライトIR-120B(H^+)に通し、水洗後、吸着したアミノ酸を2Nのアンモニアで溶出した。アンモニアを除去後、ダウエックス1×4(OAc-)にかけ、0.05Nの酢酸で展開した。Iは、他の多くのアミノ酸を含んでいたのでさらにセルロースカラムとn-ブタノール/酢酸/水で精製を必要としたが、IIは他のアミノ酸の混在なしに溶出された。Iは薄層クロマトグロフィにおける移動度、ニンヒドリンによる呈色反応、アミノ酸分析計における保持時間等が、Lepidella亜属、特にRoanokenses節に広く分布する2-アミノ-4,5-ヘキサジエン酸によく一致した。IIは溶出液を濃縮すると直ちに結晶化し(63mg)、80%エタノールから3回再結晶した。分解点は203-205°、元素分析値はC_6H_<10>NO_3Clの計算値とよく一致した。^1Hおよび^<13>C-スペクトルにより構造解析をおこなったところ、以前、われわれがA. abruptaの子実体から単離したものと同一の(2S)-2-アミノ-5-クロロ-6-ヒドロキシ-4-ヘキセン酸であることが明らかになった。ただし、A. abruptaの場合は、C5のアミノ酸を多量に含む点が本菌と異なっている。両菌は外見を著しく異にするが、精密な形態学的特徴には共通点も多く、Basはこの2種のいづれも亜節Solitariaeにいれている。また、初年度扱ったA. cokeri近縁種は、その後の検討により新種A. glandicarpaとして発表を準備中である。
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[Publications] 畑中信一.岡田久美子.長沢栄史: "Isolation and identitication of (2S)-2-amino-5-chloro-4-hydroxy-5-hexenoic acid from an Amanita of the section Ruanokenses (Amenitaceae)" Mycoscience. 36. 395-397 (1995)
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[Publications] 工藤伸一.長沢栄史: "ウスムラサキシメジLepista graveolensによる中毒について" 日本菌学会会報. 36. 103-106 (1995)
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[Publications] 長沢栄史: ""ナラタケ"、その分類および生態について" 日本菌学会西日本支部会報. 4. 11-17 (1995)