1995 Fiscal Year Annual Research Report
階層制御によるPb系酸化物超伝導体の物性に関する研究
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06650001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野地 尚 東北大学, 工学部, 助手 (50180740)
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Keywords | 酸化物高温超伝導体 / Pb系酸化物超伝導体 / 単結晶 / 異方性 / 不可逆磁場 / ピーク効果 / 錯体重合法 |
Research Abstract |
本研究の対象としたPb系酸化物超伝導体は、Pb_2Sr_2A_<n-1>Cu_<n+1>O_<2n+4+δ>(Aは希土類元素とアルカリ土類金属)で表され、n=1,2,3の変化によりPb系3201相、3212相、3223相と呼ばれる構造となる。本研究は、それらを合成し、それぞれ固有の物性を調べることを目的とした。 1.Pb系3201相の合成は、より均質な試料を得るために、液相法の錯体重合法を用いた。まず、沈殿物がない状態でゲル化させることに注意しながら、単相試料の合成法を確立した。また、超伝動を担うキャリアは、過剰酸素が供給していることを実験的に明らかにした。 2.Pb系3212相においては、キャリア濃度を制御した単結晶を育成し、異方性や磁場中での物性を調べた。単結晶育成はフラックス法で行い、仕込み組成を変化させることでキャリア濃度の異なった単結晶を得ることに成功した。それらの単結晶の異方性γは、キャリアの増加に伴って低下することが分かった。磁化測定により不可逆磁場H_<irr>とピーク磁場H_pを調べた結果、Tc近傍ではH_<irr>とH_pはγ^<-2>に比例することを明らかにした。また、異方性の大きな単結晶の低温におけるH_<irr>は、二次元のmelting磁場として理解できることを示した。 3.Pb系3223相は、バルクの単相試料合成の成功例はないため、種々の手法を駆使して合成を試みた。構造から推察すると、より低温に安定温度領域が存在すると思われることから、反応温度の高い固相反応法ではなく、低温合成が可能な錯体重合法で試みた。ブロック層とCuO_2面のミスマッチの緩和、長時間焼成、低温合成、不純物相の制御などを考慮しながら多くの実験を行ったが、Pb3223相は確認されず、700℃より高温においてはPb3212相が支配的であり、低温側ではCa_2PbO_4が形成されてしまうことが分かった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Takashi Noji: "Anisotropy in the Electrical Resistivity and Upper Critical Magnetic Field of Single-Crystal Pb_2Sr_2HO0.5Ca0.5Cu_3O_8" Physica. C235-240. 1421-1422 (1994)
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[Publications] 小池 洋二: "磁場中電気抵抗でみた高温超伝導酸化物の異方性" 東北大学金属材料研究所,強磁場超伝導材料研究センター 研究成果中間報告. 12-14 (1995)
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[Publications] Takashi Noji: "Anisotropy in the Resistive Superconducting-Transistion under Magnetic Fields in Single-Crystal Pb_2Sr_2Ho0.5CaO.5Cu_3O_8" Journal of Superconductivity. 9. 65-71 (1996)
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[Publications] 梶谷 剛: "超伝導体の結晶構造解析技術の向上" 東北大学金属材料研究所 強磁場超伝導材料研究センター 平成6年度年次報告. 29-37 (1995)
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[Publications] Masatsune Kato: "Effects of extra oxygen on physical properties in the Pb3201 phase of (Pb_2Cu)Sr0.9La1.1CuO_<6+8> preparded by the polymerized complex method" Physica. C244. 263-270 (1995)
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[Publications] Takashi Noji: "Carrier Dependences of Anisotropy and Irreversibility Field in Pb_2Sr_2Y_<1-X>CaxCu_3O_8 Single Crystals" Physica. C255. 10-18 (1995)
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[Publications] Takashi Noji: "Irreversibility Line and Second Peak in the Magnetization Curves of Pb_2Sr_2Y_<1-x>CaxCu_3O_8 Single Crystals" Physica C. (in press).
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[Publications] Syunji Sugai: "Phonon and two-magnon Raman Scattering in Pb_2Sr_2Ho(Y)_<1-x>CaxCu_3O_<8+g>" Physica C. (in press).