1995 Fiscal Year Annual Research Report
電界電離質量分析法に基づくクラスター表面反応解析装置の開発
Project/Area Number |
06650016
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
種村 眞幸 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30236715)
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Keywords | クラスター / 電界電離 / 質量分析 / 反応性 |
Research Abstract |
1.全体システムの組立:マイクロクラスター(MC)源、電界電離(FI)源、第1アインツェルレンズ(1-EL)、第1四重極質量分析計(1-QMS)部、ガス反応室、第2アインツェルレンズ(2-EL)、及び、第2四重極質量分析計(2-QMS)部より構成される装置を完成させた。MC源には、密閉式るつぼによるノズルビーム法を採用した。MC源で発生したクラスターは、FI源の電界イオン化ゾーンで非破壊的にイオン化され、1-QMSでサイズ選別された後、ガス反応室に導かれ、反応後、2-ELでイオン収束され、2-QMSにより反応解析が行われる。各QMSの質量分析範囲はともにm/e<400である。本システムの特徴は、FIによる非破壊イオン化にある。 2.各種金属クラスターの非破壊サイズ分布測定:MC→FI→1→EL→1→QMSは「クラスターサイズ非破壊測定装置」として機能する。これを利用した標記測定の結果、とりわけ、Li及びZnで特筆すべき成果が得られた。Liの場合、不安定クラスター故に検出が困難とされる3量体が、モノマーに対して1/10程の高い存在比率で検出され、FI法の威力を如実に示す結果であった。また、Znでは、検出された2量体の同位体存在量が、モノマーのそれから計算される理論存在量とは異なり、特定同位体の選択的な組み合わせが認められた。 3.リチウム3量体とH_2Oとの反応:サイズ選別されたLi_3^+をガス反応室に導き、H_2Oとの反応後、反応生成物を2-QMSにて検出した。反応時、大部分の3量体は解離し、Li_2H、LiOH、及び、僅かにLi_2OHの形成が認められた。水酸化物の検出は、電子衝撃イオン化法では容易でない事から、画期的である。
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