1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650027
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
堀中 博道 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (60137239)
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Keywords | 偏極電子源 / 量子細線 / 時間分解測定 / フォトルミネセンス / ポンプ・プローブ法 / ポーラスGaAs / 円偏光 |
Research Abstract |
1.半導体の伝導帯に励起された偏極電子の偏りと緩和を評価するために、チタンサファイア・レーザー、ストリーク・カメラ・モノクロメータで構成された従来の発光の減衰特性の測定系に、4分の1波長板と偏光子で構成された円偏光に対する偏光子と検光子を、それぞれ、試料の入射側と出射側に加え、円偏光励起発光の偏りの減衰を測定できるようにした。偏極電子源陰極として設計したStrained GaAsを試料として測定したところ、室温における伝導帯電子のスピン緩和時間は100psec、ライフタイムは45psecであることが明らかになった。温度に対するスピン緩和時間の変化の測定結果から、主なスピン緩和機構は正孔による電子の散乱であることが分かった。この結果は、現在、応用物理学会欧文誌に投稿中である。 2.フォトルミネッセンス法に比べて、より高い時間分解能が得られる方法として円偏光を用いたポンプ・プローブ法の適用を考え、光学系を作製した。試料としてStrained GaAsを用い、ポンプ光によって生じた吸収飽和によるプローブ光の反射率変化を測定した。フォトルミネッセンス法とほぼ同じ値のライフタイムが得られた。現在のところスピン緩和時間を決定するに充分安定した波形は得られておらず、光学系の改良を考えている。 3.縦型量子細線構造の偏極電子源陰極を作製するために陽極化成法を用いてポーラスGaAsの作製を行った。(III)面のp-GaAs基板を用い、HF水溶液中(HF:H_2O=1:3)で電流密度、エッチング時間を変えて陽極化成を行い、作製された試料表面をSEMで観測した。30-300nmの幅で断面が三角形の多数の柱を得ることができた。上に述べた光学系を用いて、発光の偏りを測定した。発光の偏りのスペクトルは複数のピークを示した。短波長側のピークはbulkのGaAsでは観測されておらず、量子サイズ高価によるバンド構造の変化と伝導帯電子の偏極度への影響が確認された。
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