1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650072
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森 正武 東京大学, 工学部, 教授 (20010936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 秀教 東京大学, 工学部, 助手 (50242037)
降籏 大介 東京大学, 工学部, 助手 (80242014)
杉原 正顯 東京大学, 工学部, 助教授 (80154483)
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Keywords | スピノ-ダル分解 / 異常拡散現象 / Cahn-Hilliard方程式 / 非線形偏微分方程式 / 差分スキーム / 安定性条件 / リアプノフ関数 |
Research Abstract |
われわれの研究対象は,スピノ-ダル分野と呼ぶ,合金など空間的に均一な組成が時間発展とともに空間的に不均一に変化してゆく,いわゆる異常拡散現象の数値解析である.その現象のモデルを記述する方程式として,Cahn-Hilliard方程式が知られている.この方程式は非線形項をもつ拡散方程式の形をしているが,拡散項の係数が負であることおよび非線形項の非線形性がかなり強いことにより,数値計算によって正確な解を求めることがかなりむずかしい. われわれは数学的考察と物理的考察を同時に行うことによって,Cahn-Hilliard方程式の数値解を求める差分スキームに対する安定性の条件を得た.それらの安定性を,F-安定および最適F-安定と名付けた.そして,F-安定および最適F-安定の条件を満たす差分パラメータの典型的な組合せを計算によって求め,その組合せの幾組かを使って実際に数値解を計算し,十分満足する結果を得た,以上の解析は空間変数2次元以上の場合にもそのまま適用でき,実際2次元問題のいくつかの例題に対しても十分安定な解を得ることができた. 次に,われわれはこの数値解の安定性をさらに詳細に調べるために,考えている物理系のリアプノフ関数を利用することを考えた.その解析過程で,より安定な差分スキームを得るためにはむしろリアプノフ関数を積極的に利用すべきであることに気付いた.そこで,このリアプノフ関数を出発点にとり,それを直接離散化し,それからCahn-Hilliard方程式に対応する差分スキームを合理的に導出した.こうして得られた差分スキームを使えば,数値解はいずれの場合も安定に計算することができることが確かめられた,次年度以降は,これらの結果に対する数学的に裏付けを中心に研究を続けたい.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 降籏大介: "差分スキームの構成法の再考" 京都大学数理解析研究所講究録. 880. 96-104 (1994)
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[Publications] 國広昇: "境界要素法の変数変換型の自動積分法とその誤差解析" 日本応用数理学会論文誌. (to appear).
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[Publications] 杉原正顯: "Formal derivation of the Euler-Maclaurin summation formula and a space of entire functions of exponential type" Proceedings of the Second Japan-China Seminar on Numerical Mathematics. (to appear).
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[Publications] 緒方秀教: "Bessel関数を含む振動積分に対する数値積分公式" 京都大学数理解析研究所講究録. (to appear).
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[Publications] 森 正武: "線形計算(岩波講座応用数学[方法2])" 岩波書店, 121 (1994)
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[Publications] 杉原正顯: "数値計算法の数理" 岩波書店, 335 (1994)