1994 Fiscal Year Annual Research Report
射出成形した金属間化合物TiAlの常温および高温における疲労特性の評価
Project/Area Number |
06650098
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
戸梶 恵郎 岐阜大学, 工学部, 教授 (80021616)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 武史 岐阜大学, 工学部, 助教授 (50167318)
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Keywords | 金属間化合物 / 射出成形 / 静的機械的性質 / 疲労強度 / 疲労き裂進展 / 高温 / 組織 / 破壊機構 |
Research Abstract |
金属間化合物TiAlの力学的性質に関する系統的な研究はきわめて少なく,とりわけ構造材料として評価が不可欠な疲労特性についてはほとんど知られていない.一方,TiAlは難加工材であるから,成形法についても十分な考慮が必要である.こうした観点から,本研究では,TiAlのような難加工材の成形法として射出成形をとりあげ,射出成形材の常温および高温における疲労特性の評価を行った.本年度の研究で得られた成果は,以下の3つに大別できる.それぞれについて結果を要約する. 1.射出成形材の室温および800℃における引張特性 (1)射出成形材の引張強さは鋳造材の1/2程度であるが,鋳造材と同様に高温まで室温の強度が維持される. (2)射出成形材の引張強さは焼結温度に依存し、焼結温度の上昇に伴い強度も高くなる. (3)鋳造材よりも劣る射出成形材の引張特性,および焼結温度依存性は,含まれるポアの含有率(密度)と組織の相違に起因している. 2.射出成形材の常温における疲労強度および疲労き裂進展特性 (1)射出成形材の疲労強度は鋳造材よりもかなり低く,また焼結温度の上昇に伴い疲労強度は高くなる. (2)射出成形材のき裂進展抵抗も,鋳造材と比べるとかなり劣っている.また,焼結温度および組織依存性を示す. (3)弾性係数を用いても,射出成形材と鋳造材間のき裂進展抵抗の相違,およびき裂進展抵抗の焼結温度依存性を説明できない.すなわち,き裂進展特性はポアと組織の相違に強く依存している. 3.鋳造材の常温における疲労強度および疲労き裂進展特性 (1)ラメラ組織の疲労強度は,duplex組織よりも優れている. (2)ラメラ組織はduplex組織よりも高いき裂進展抵抗を示す. (3)弾性係数で基準化したき裂進展特性は,他の金属と一致しない.すなわち,TiAlの進展機構は異なる. 以上の研究を通じて,組織がTiAlの疲労特性に大きな影響を及ぼすことがわかった.今後,系統的に組織の影響を評価し,疲労強度における最適組織を明らかにするとともに,高温における疲労特性の評価と機構に関する研究を行っていく予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 柴田,英明: "射出成形した金属間化合物TiAlの室温および高温引張特性" 日本機械学会材料力学部門講演会講演論文集. Vol.B. 431-432 (1994)
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[Publications] 柴田,英明: "射出成形したTiAlの疲労強度および疲労き裂進展特性" 日本機械学会東海支部第44期総会・講演会講演論文集. (発表予定). (1995)
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[Publications] 柴田,英明: "金属間化合物TiAlの疲労強度および疲労き裂進展特性" 日本機械学会第72期通常総会講演会講演論文集. Vol.II(発表予定). (1995)