1995 Fiscal Year Annual Research Report
薄膜セラミックス被覆材の創成と強度の分子動力学的解析に関する基礎研究
Project/Area Number |
06650107
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
星出 敏彦 京都大学, 工学研究科, 助教授 (80135623)
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Keywords | セラミックス薄膜 / セラミックス被覆材 / 分子動力学法 / スパッタリング法 / 超微小硬度 / 曲げ強度 / 表面粗さ / 成膜条件 |
Research Abstract |
まず、高周波マグネトロンスパッタリング法を用いて炭化ケイ素薄膜をガラス基板上に形成し,超微小ダイナミック硬度測定ならびに3点曲げ試験によってスパッタリング薄膜の機械的特性の評価を行った.アルミナ薄膜の成膜では基板の加熱は行わなかったのに対して,炭化ケイ素薄膜の成膜では基板の加熱が必要になった.そこで,2種類の初期基板温度を設定し,それぞれ膜厚および高周波電源出力を変化させて、薄膜特性の成膜条件に対する依存性を明らかにした.炭化ケイ素被覆材に関しては,いずれの条件においてもセラミック薄膜の膜厚を厚くすると硬度は増大したが,曲げ強度の電源出力に対する顕著な依存性は認められなかった.なお,破面観察の結果,アルミナ被覆材の曲げ強度に関しては高強度側と低強度側とで成膜時の欠陥形成に関連すると考えられる破壊形態の相違が認められたが,特に低い高周波電源出力で成膜した被覆材については,その曲げ強度が低下し,基板および被覆材の界面近傍に欠陥が存在することが破面観察の結果判明した.このような実験結果に基づいて,界面特性の改善には成膜条件の選定に注意する必要があることを指摘した. さらに、上述のスパッタリング過程で形成される薄膜構造の解析を行う手法として、剛体球モデルに基づいて提案した2次元薄膜形成解析コードを3次元に拡張した.今回は,上述の実験的検討から薄膜がアモルファスであることが確認されたため、分子動力学法のうちポテンシャルを仮定しない剛体球衝突解析モデルを採用した.解析にあたっては,実験における高周波電源出力および薄膜硬度を,それぞれ解析条件における初期粒子体積密度および見かけの膜粒子体積密度に対応させた.解析の結果,本解析モデルにより実験結果の定性的傾向を説明できることを明らかにした.
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Research Products
(1 results)