1994 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス金属薄帯の多層化高強度材料の開発とその信頼性評価に関する研究
Project/Area Number |
06650122
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
酒井 達雄 立命館大学, 理工学部, 教授 (00066739)
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Keywords | アモルファス金属 / 引張強度 / ワイブル分布 / 混合分布 / 疲労試験 / X線回折 / 温度依存性 / 多層複合 |
Research Abstract |
本年度は当初の研究計画に従い、アライド・シグナル社製のFe系アモルファス薄帯(2605-S2)を用いて大量の試験片を準備し、常温から500℃にわたる広い温度域におけるいくつかの温度条件で引張試験を行い、引張強度分布の温度依存性を実験的に調べた。また、X線回折法を適用して破断試験片に対して結晶解析を行い、強度分布と結晶化現象との関係についても考察を加えるとともに、アモルファス固有の分布成分と結晶化後の分布成分を結合した混合型ワイブル分布を基礎とした定量解析を試みた。さらに、エポキシ樹脂によるアモルファス薄帯の複合化を行い、薄帯個々の強度を損なうことなく多層化するための接合技術を検討するとともに、本材料に対する疲労試験方法を検討した。 本年度の研究成果を要約すれば、以下のとおりである。 (1)350℃以下の温度域では本材料の引張強度分布は温度に依存せず、単一のワイブル分布に従い、500℃ではこれとは異なる単一のワイブル分布に従う。前者はいずれもアモルファスであることが確認され、後者については結晶化が起こっていることが確認された。 (2)400℃ではアモルファス固有の分布成分と結晶化後の分布成分が重畳され、強度分布に大きなばらつきが現れるが、この分布特性はアモルファス支配成分と結晶化支配成分からなる混合型ワイブル分布でよく説明できることがわかった。 (3)エポキシ樹脂を用いてアモルファス薄帯を多層複合化する際の最適な温度および加圧条件を調べ、薄帯そのものの強度を損なうことなく多層複合するための技術を開発した。 (4)本材料に対する疲労試験方法として、小型油圧サーボ疲労試験機の荷重検出部と試験片取付け部を改良することにより、十分な精度で疲労試験が実施できることが確認された。
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