鋳造法との複合化による製品内面への耐摩耗硬質容射皮膜の固定化技術

1994 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 06650136
• Research Institution: Shinshu University
• Principal Investigator: 清水 保雄 信州大学, 工学部, 教授 (20142284)
• Keywords: 高速フレーム溶射 / 鋳造 / 皮膜固定化 / 中子 / 耐摩耗処理 / サ-メット皮膜 / 内面溶射

Research Abstract

金属製品に設けられた狭く深い孔の内面を表面処理し,耐摩耗性や耐食性などの特性を向上させるため,新たに考案した溶射と鋳造の両技術の複合加工プロセスに関する基礎的研究を行った。すなわち,狭く深い孔の内面への皮膜形成が困難な溶射法の限界を克服する方法として,予め鋳造用中子の外表面へ所望の皮膜を溶射法によって形成しておき,それを鋳型内に組込むことにより,製品の孔内面に耐摩耗硬質皮膜を固定化する溶射/鋳造複合化プロセスを検討した.
本研究では,先ず,高速フレーム溶射システムの改修を行い,対象とする超硬サ-メット材料(WC-CoおよびCr_2C_3-NiCr)の溶射に関し,装置の性能および安定性を検証し,引き続き,Zn合金およびレジンコーテッドサンド製の鋳造用中子へ高速フレーム溶射を実施した.本研究で得られた成果,問題点およびその対策等は以下に列挙する通りである.また,既に実用化を目標とした模型の設計・製作も並行し実施しており,次年度の研究に加え継続,検討する.
(1)Zn合金中子は溶射および鋳造工程での利便性はかなり高く,耐摩耗硬質皮膜の固定化にも適する.しかし,溶解分離したZn合金中子材料がアルミニウム合金鋳物と接触反応して製品の形状不良を生じる原因にもなり,不適当な場合がある。
(2)Zn合金中子を使用した場合における問題を回避するため採用したレジンコーテッドサンド中子は,塑性変形能が小さく,溶射粉末を機械的に打込み付着させることは困難で,直接,超硬サ-メットを高速フレーム溶射させることは不可能であったが,低融点で濡れ性を有する特殊アルミニウム合金を汎用ガス溶射により成膜し予処理すれば,高速フレーム溶射が可能となる.
(3)製品孔内面に固定化されたWC-12%Co超硬サ-メット皮膜は硬度Hv1000以上を保持した.