Research Abstract |
クリープフィード研削は,砥石切込み深さを大きくして,全取代をワンパスあるいは数パスで所定の寸法に仕上げる高能率研削法の一つである.この加工法では,通常の研削に比べ,砥粒切込み深さの最大値が小さくなるため,一個当りの砥粒切れ刃に作用する切削力が小さくなり,目づまりや目つぶれを起こし,研削抵抗が増大し多量に研削熱が発生する.さらに,砥石と工作物との接触弧が長くなるため,接触弧内部へ研削油剤が供給されにくくなり,研削油剤による冷却が悪くなる.これらのため,クリープフィード研削では,研削焼けや研削割れなどの熱的損傷が発生しやすい.この熱的損傷を防止するためには,これまでに種々の対策が考案されてきた.その結果,研削焼け防止には,砥石作用面に適度の自生作用を促し,かつ接触弧内部へ研削油剤を確実に供給させる方法が有効であると考えられる.そこで,本研究では,工作物をテーブル送り方向に微小振動させることによって,砥石作用面に適度の自生作用を促し,かつ接触弧内部へ研削油剤を確実に供給させ,研削焼けを防止することができると考え,振動クリープフィード研削を試みた.すなわち高速度工具鋼SKH4ならびにステンレス鋼SUS304を工作物とし,一般砥石で振動クリープフィード平面研削を行い,工作物の送りに微小振動を加える効果を実験的に調べて結果,(1)工作物SKH4をクリープフィード平面研削する場合,工作物の送りに微小振動を加えることによって,研削動力は小さくなり,研削焼けが防止できる.さらに,WA砥石による研削では,砥石の半径方向の減耗量は,かなり小さくなる.(2)工作物の送りに振動を加える場合,下向き研削では,全振幅の増加につれ,砥石と工作物との接触弧内部における研削油剤の供給量は多くなり,研削焼け防止に効果があることなどが明らかになった.
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