1995 Fiscal Year Annual Research Report
転がり摩擦下における潤滑油のトライボ劣化現象とフリクションポリマー生成の解明
Project/Area Number |
06650164
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
益子 正文 東京工業大学, 工学部, 助教授 (60111663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 章仁 東京工業大学, 工学部, 助手 (30235931)
岡部 平八郎 東京工業大学, 工学部, 名誉教授 (00016403)
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Keywords | トライボロジー / トライボケミストリー / フリクションポリマー / 部分EHL |
Research Abstract |
初年度において確立した実験手法に基づき,転がり四球試験機を用いた潤滑油のトライボ劣化,ガラス容器中での静的熱酸化試験を行い,各試験後の劣化油の微量分析を,赤外分光分析器による官能基分析,高速液体クロマトグラフィーを用いたGPCによる分子量分布測定を行った.転がり四球試験の条件は,軸荷重294N,98Nの2種類,速度2500rpm一定,温度は室温からなりゆき,で行った.試料油は水素化精製されたパラフィン系鉱油を無添加で用いた. 高荷重下で行ったトライボ劣化試験では無色透明であった試料油が試験後には茶褐色に変色しており,劣化が進んでいることを伺わせる外観であった.赤外分光分析の結果,試験後の試料油からは>C=O基,-OH基の存在が検出され,転がり試験中に試料油の酸化劣化が進行したことを示した.試料油は高度に精製されたパラフィン系鉱油であるため,紫外域に吸収を示さないが,試験後はGPC分析のUV検出器に検出される物質が生成していることが明らかとなった.これは酸化劣化により炭素間二重結合を有する化合物が生成したためと考えられた. 静的熱酸化試験と異なり,転がり試験では赤外吸収スペクトルに-COO^-基およびFe_2O_3が検出された.これは転がり試験中に微細な摩耗粉が生成したこと,試験片表面あるいは摩耗粉と酸化劣化生成物であるカルボン酸とが反応し金属セッケンを生成したことを示すものである. 低荷重で試験を行った場合は,-COO^-基の生成は認められたが,顕著な摩耗粉は生成されず,摩耗粉発生による潤滑状態の悪化が起きることなく試料油に劣化が進行していくことが確かめられた.
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