1994 Fiscal Year Annual Research Report
界面活性剤溶液の境界層流れ中のヘアピン渦に関する研究
Project/Area Number |
06650203
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 基之 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (30024334)
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Keywords | 抵抗減少 / 界面活性剤 / ヘアピン渦 / 低速ストリーク / 平板上層流境界層 / 水素気泡法 / 色素注入法 |
Research Abstract |
界面活性剤の微量添加による流動抵抗減少のメカニズムを明らかにするための一つのアプローチとして,平板上層流境界層中に人工的にヘアピン渦を生成し,作動流体が水の場合と界面活性剤水溶液の場合とでヘアピン渦の挙動がどのように異なるかを調べた.本年度は実験装置の設計製作,流れの可視化観測システムの構築を完了し,ヘアピン渦の挙動解析をある程度行うことができた.これまでに得られた主な知見は以下の通りである. 1.ヘアピン渦の発生周波数は界面活性剤水溶液中では小さくなる. 2.水流中ではヘアピン渦の首部から脚部にかけて上流側の部分が下流側の部分よりも壁から離れてキンクを形成する現象が見られるのに対して,界面活性剤水溶液中ではそのようなキンクは形成されず,またオリジナル渦の間に2次渦が発生することもない. 3.人工的に生成した1本の低速ストリークは,水流中ではある程度下流において3本に増加するとともにそれに付随した2次渦の発生が見られるが,界面活性剤水溶液中では下流においても低速ストリークは1本のままであり2次渦の発生も認められない. 4.オリジナルヘアピン渦の首部が壁面に対してなす角度は水流中の方が大きく,界面活性剤水溶液中では最大45°程度である. 5.ヘアピン渦頭部の対流速度と境界層外主流速度の比は,界面活性剤水溶液の場合の方がかなり小さい. 6.以上の実験結果を総合して,界面活性剤水溶液中ではヘアピン渦の強度が水流中のものに比べてかなり小さいことが結論でき,その原因として前者の伸張粘度がきわめて大きいことが考えられる.
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