1994 Fiscal Year Annual Research Report
異種流体混合現象の分子シミュレーションとその可視化に関する研究
Project/Area Number |
06650224
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Research Institution | Ibaraki National College of Technology |
Principal Investigator |
鯉渕 弘資 茨城工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (00178196)
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Keywords | 相転移 / 界面 / モンテカルロシミュレーション / 統計力学 |
Research Abstract |
1.異なった2つの液体を隔てる「2次元界面」をモデル化した。それは表面張力の持つ性質,即ち,界面の面積を出来るだけ小さくしようとする性質と,面積が同じならば界面を出来るだけ滑らかにするという性質を持つ。更に,界面の変形時にその面積が変化する性質と,変形の途中で自分自身とは交わらないという性質を持つモデルも研究の対象とした。 2.モンテカルロシミュレーションの方法で,これらのモデルに相転移があるかどうかを数値実験的に確かめるため,その計算プログラムをFORTRANで作成した。更に,計算プログラムの特性を把握するための予備的な数値実験を完了した。比熱の計算によって相転移の存在が判るが,この比熱の計算もある程度の数値実験の規模で実行した。 3.現在までに行ったことと,得られた結果を論文としてまとめて,平成7年2月末に機械学会論文集に投稿した。その主な内容は次のとうりである。 (1)表面張力の性質のみ持つモデルでは,比熱にピークがあること,そのピークは分子数の増加と共に大きくなることが,ある程度の分子数までは確からしいことが判った。このことから2次の相転移が起こっていると予測した。分子数が更に大きくなっても同じことが起こっているかどうかについては今後の課題とした。 (2)面積の変化が分子数の変化によって引き起こされるとするモデルにも,比熱と分子数のゆらぎにピークが見られ相転移が起こっていると予測できた。自分自身とは交わらないという自己回避性を持つモデルにも,比熱のピークが見られ相転移が起こっていると予測できた。 (3)また,自己回避性を持つモデルのシミュレーションはそれを持たないモデルに比べて極端に多くの計算時間を要し,現在の計算機能力では十分な数値実験を行うのは困難であることも判った。 4.以上本年度に得られた結果から,当面の大きな目標を自己回避性を持たないモデルの相転移現象を定量的に捉えることとした。
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