1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650228
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Research Institution | AKITA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
菅原 征洋 秋田大学, 鉱山学部, 教授 (10042011)
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Keywords | 雪 / 融解 / 水溶液 / 濃度 / 拡散 |
Research Abstract |
雪層の融解実験で用いた水溶液は塩化カルシウム水溶液であり,水溶液の温度と濃度を広範囲に変化させて雪層の融解実験を行った.本実験は特に水溶液の温度を高めた場合の融解挙動を把握することが主目的である.水溶液の温度は雪層の温度である-5℃を基準最低温度として,これより高めた0℃,10℃,20℃の4種類の水溶液温度で雪層の融解実験を行った.水溶液の温度と濃度に見合った雪層の融解挙動を示した.水溶液の温度が雪層の温度よりも高い場合には,両者の温度が同じ場合と比べて融解系の温度降下量が大きいことが認められた.そして融解終了時の融解系の平衡温度は水溶液温度の上昇につれて高くなって溶質の平衡濃度は低下した.このことは水溶液の温度が高くなるにつれて,雪層の融解量もそれに伴って増加することを示すものであり,温度・濃度の複合効果が顕著であることが実験的に認められた. 一方,解析については水溶液の温度が雪層温度よりも高い場合であるので,,まず,温度差によって融解がすると仮定して従来のNeumann問題の解析手法で融解量を解析する(温度差支配融解).このときの融解は熱移動に支配されるので約0.05秒の短時間で融解が終了する.その後融解面と溶液部の濃度差に支配されて融解が進行すると仮定して解析する(濃度差支配融解)このときの融解は熱移動よりも格段と遅い濃度拡散によって支配されるので,緩慢に融解が進行する.融解系が平衡になる.すなわち融解が終了する時間は約4秒程度で温度差支配融解の約100倍程度の長い時間を要する.濃度拡散層厚さをNernstの厚さである0.04mm程度に仮定すると,本解析結果は実験の傾向を比較的に良く予測できることがみとめられた.
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