1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650237
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
姫野 修廣 信州大学, 繊維学部, 助教授 (20114887)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日向 滋 信州大学, 繊維学部, 教授 (80007020)
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Keywords | 半透膜セル / 凍結 / 生体細胞 / NaCl水溶液 |
Research Abstract |
本研究では生体の凍結保存実現のための基礎研究として、二次元半透膜セル列内のNaCl水溶液の凍結現象につき実験的研究を行った。実験は、両端に銅製の伝熱ブロックを配置した上面解放のアクリル製セル容器を製作し、この中に再生セルロース製の半透膜セルを二次元的に配列して片側冷却により行った。実験条件としては溶液の初期濃度が8%と2%、冷却温度は、NaCl水溶液の共晶点(-21.2℃)を考慮し、-15℃と-45℃の場合について実験を行った。その結果、セルの有無に関わらず凝固はほぼ初期濃度に対応した凝固温度で開始し、凝固相は、共晶点温度を境としてそれより温度が低い部分では白く不透明、高い部分では透明な二つの部分にくっきり分かれることが明らかとなった。溶液の凝固の際には水分のみが凝固し溶質は排出されるので液相濃度は増加するはずであるが、測定の結果、上述の凝固開始温度とも対応して液相濃度は確かに上昇するもののそれほど極端な上昇は観察されなかった。観察結果も踏まえ以上のことから、凝固面は平面的ではなく針状に成長し、溶液はその針状結晶の間で濃縮され共晶点温度で完全に凝固するという特性が明らかになった。観察された透明な凝固相はこの固液共存領域に対応し、白く不透明な部分は完全に凝固した領域に対応する。またセルが無く液相内で自然対流が生じる場合にも上述の凝固特性はほとんど変わらず、凝固面の針状的な成長の影響が非常に強いことが明らかとなった。さらにセルの内外の濃度測定を行ったところ、セル内の濃度は高いもののその差は小さく上述の凝固特性と大きな関連があることがわかった。以上のように凝固面近くのかなり大きな領域で固液二相状態を保ちながら凝固が進行するという凝固特性が、セル内外の濃度変化に非常に大きな影響を及ぼすことが明らかとなり、今後本研究データをもとに定量的理論モデルの構築を行う予定である。
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