1994 Fiscal Year Annual Research Report
音響励起による半円柱後流の非対称渦構造と拡散火炎の燃焼制御
Project/Area Number |
06650243
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
大岩 紀生 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (00023341)
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Keywords | 乱流燃焼 / 拡散火炎 / 物体後流 / 組織構造 / 音響励起 / 能動的燃焼制御 / 音と火炎の相互干渉 / 流れと火炎の相互干渉 |
Research Abstract |
本研究では、異なる流速の一様流の境界に切断面を下流に向けて半円柱を置き,その後流の渦構造と変動特性を音響的に制御することにより、拡散火炎の燃焼制御を行なうことを目的とする。そのために作製された燃焼風洞は二次元で、半円柱の左右のエッジから強さと符号の異なる渦度をもつニ枚のせん断層を発生させることができるので、コールドフローの場合にはニ枚のせん断層の相互干渉と発達の過程を,一方、反応性流れの場合には、焼結金属製の半円柱切断面から燃料あるいは過濃混合気を低速でしみ出させて火炎を安定化させることにより、半円柱後流の渦構造と拡散火炎の相互干渉の過程を、直接および光学的観察を加味しながら調べることが可能となる。 そこで本年度は、まず研究の第-段階として、平均的直接写真、瞬間直接写真、および瞬間影写真の3種の写真撮影と、平均温度と変動温度測定ならびにその周波数分析を行なって、音響的燃焼制御に必要な半円柱後流の非対称渦列とそこに形成される拡散火炎の基本的変動特性を調べた。得られた結果は以下の3点に要約され、第32回燃焼シンポジウム(平成6年11月)において公表された。 (1)低速空気流を増して得られる半円柱下流のコールドフローは、高速側せん断層のコヒーレント構造に支配される変動特性をもつせん断流形から、カルマン渦列が変動特性を支配する後流形へと変化し、3形態の流れが観察される。しかし、-旦、火炎が形成されると、低速側の付着火炎と高速側せん断層に形成される浮上り火炎から成る平面拡散火炎から、左右2枚のせん断火炎から成る通常の物体後流火炎へと形態が変化し、後流形の流れ条件下でもカルマン渦列への遷移はみられない。その結果、2形態の火炎が観察される。 (2)変動温度の周波数スペクトルは、基礎となるなだらかな白色ノイズ成分と、200〜350[Hz]の比較的低周波数のピーク群と530〜550[Hz]の比較的高い周波数のピーク群の重ね合わせから成り、前者の低周波数のピークは燃焼器系の共鳴に起因し、後者の高周波数ピークは半円柱の高速側エッジ下流のはくのりせん断層の不安定性から生起し成長した組織構造に起因する。 (3)したがって、対象とする火炎の燃焼過程を音響的に制御しようとする場合、振動燃焼を防止するという実用的観点からは、低周波数の装置固有の共鳴周波数の近傍でその周波数を外した周波数で励起すればよく、一方、組織構造を積極的に利用した燃焼改善という基礎的観点からは、高周波数ピーク群の一つに合わせて励起すればよいことが明らかとなった。
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[Publications] 阿部,石野,大岩,山口: "音響励起による半円柱後流の非対称渦構造と拡散火炎の燃焼制御(半円柱後流に安定化される拡散火炎の構造と基本的特性)" 第32回燃焼シンポジウム講演論文集. 474-476 (1994)