Research Abstract |
HCFC-22の代替候補冷媒としての混合冷媒HFC-32/HFC-134aの伝熱特性を明らかにするのが本研究の目的である.本年度は,質量分率でHFC-32が30%,HFC-134aが70%の混合冷媒の平滑管および内面ら旋溝付管における沸騰・蒸発熱伝達と圧力損失に関する追加の実験を行うとともに,新たに単一成分冷媒HCFC-22についても実験データを得て,比較検討した. 本年度得られた成果は,以下の通りである. 1.混合冷媒の熱伝達係数の測定値および物質拡散抵抗の影響を無視して単一成分冷媒の予測式から算出した熱伝達係数の値を比較検討して,混合冷媒HFC-32/HFC-134aの平滑管内の局所熱伝達特性は,従来明らかにされている非共沸混合冷媒の伝熱特性と同じ傾向を示すことを確認した.すなわち,低流量,高熱流束,高クオリティで核沸騰の伝熱に対する寄与が大きくなる場合ほど,成分冷媒の物質拡散抵抗のため,物性値が等価な純冷媒より伝熱は悪くなり,高流量,低熱流束,高クオリティで強制対流が支配的となる領域では,物質拡散抵抗の影響は比較的小さく,熱伝達係数は物性値が等価な単一成分冷媒の値に近くなる. 平滑管における場合冷媒HFC-32/HFC-134aの局所熱伝達係数の値は,強制対流が支配的な領域では冷媒HCFC-22とほぼ等しい値になるが,核沸騰の寄与が大きくて伝熱が悪くなる領域では,混合冷媒の熱伝達係数はHCFC-22の70%程度までの低い値になる. 混合冷媒HFC-32/HFC-134aでも,冷媒HCFC-22の場合と同様に,ら旋溝付管によって,伝熱促進が達成される.しかしながら,溝付管の場合,混合冷媒では全般的に流量による大きい影響が認められ,冷媒HCFC-22に対する混合冷媒の熱伝達係数の比は,低流量ほど小さく,質量速度50kg/(m^2・s)で1/2程度かそれ以下,質量速度500kg/(m^2・s)になるとほぼ1になる.したがって、混合冷媒の溝付管による伝熱促進の程度は,冷媒HCFC-22の場合よりも全般に小さく,伝熱促進の大きい低流量の場合でも冷媒HCFC-22の50%程度である。 溝付管および平滑管での混合冷媒HFC-32/HFC-134aの圧力損失は,一般に,冷媒HCFC-22の場合と比べて,いずれの管でも20%程度あるいはそれ以上大きい.
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