1994 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学法による凝縮・蒸発過程のシミュレーションと凝縮係数
Project/Area Number |
06650259
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
鶴田 隆治 九州工業大学, 工学部, 助教授 (30172068)
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Keywords | 分子動力学 / 凝縮 / 凝縮係数 / 気液界面 / 並進運動 / 単原子分子 |
Research Abstract |
気液界面における凝縮機構を分子スケールで解明するために,分子動力学法を用いたシミュレーションを行った.本年度の目的は,気液界面に入射する分子の並進エネルギと入射角度が凝縮確率にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることである.そこで,単原子分子であるアルゴンの入射シミュレーションを行い,界面で実際に凝縮したものの割合から凝縮係数を算出した. 1.平衡系の分子動力学シミュレーション法の確立: まず,分子動力学法のシミュレーション技術を確立するとともに,入射シミュレーションに必要となる気液界面を準備するため,864個のアルゴン分子からなる3次元平衡液膜を形成した.その密度は,84Kにおいて約1.4g/cm^3とほぼ妥当な値となった.また,界面部には分子スケールの凹凸があり,およそ10Aの厚みの範囲で密度が変化していた. 2.単一分子の入射シミュレーション結果: 平衡系の液膜界面に,一組の入射エネルギと入射角度に対して100回の投入シミュレーションを実施し,液面とのエネルギのやり取りや,投入分子が液面に捕らえられるかどうかの情報を取りまとめた.その結果,入射分子の大半は界面の内部で複数回の衝突を繰り返すことによって凝縮し,そのためアルゴン分子の凝縮係数は0.9より大きくなること,および入射エネルギの界面への垂直成分が増えるとともに凝縮係数が大きくなっていくことがわかった.気液界面の凹凸が複数回の衝突を実現し,入射分子のエネルギ吸収を容易にしていると言える.また,反射分子の多くは界面から少し離れたところで蒸発分子と衝突しており,入射エネルギの界面垂直成分が小さいほど衝突によって得るエネルギが大きくなり,反射されやすくなることがわかった.
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