1995 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学法による凝縮・蒸発過程のシミュレーションと凝縮係数
Project/Area Number |
06650259
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Research Institution | KYUSHU INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
鶴田 隆治 九州工業大学, 工学部, 助教授 (30172068)
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Keywords | 分子動力学 / 凝縮 / 蒸発 / 凝縮係数 / 気液界面 / 並進運動 / 単原子分子 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き,気液界面における凝縮機構の分子スケールでの解明を目的とし,分子動力学(MD)法によるアルゴン分子の液面への投入シミュレーションを行った.また,蒸発分子の速度分布解析を実施し,直接シミュレーションモンテカルロ(DSMC)法に代表されるメゾスケール解析のための境界条件の検討を行った. 1.MDによる投入シミュレーション:昨年度の温度84Kにおける投入シミュレーションにより,凝縮係数が入射エネルギの界面鉛直成分の関数となり,そのエネルギ成分そ増加とともに凝縮係数が大きくなることが分かった.そこで今年度は,温度102Kにおける凝縮係数を算出し,界面温度の影響を検討した.その結果,温度上昇とともに液面分子の運動が活発になって反映される確率が高くなり,凝縮係数が84Kの場合に比べて小さくなることが分かった.また,界面近傍での反射現象が多く観察された. 2.蒸発分子の速度分布:界面近傍において液面から離れる方向に向かう分子の速度分布を求め,この中で正味液体から蒸発した分子を特定した結果,全分子はMaxwellの速度分布に従うものの,蒸発分子にMaxwell分布を適用することは妥当でないとの結果を得た.すなわち,蒸発分子の界面鉛直方向速度成分が大きいほど蒸発しやすく,蒸発係数も凝縮係数と同様,鉛直方向エネルギとともに高くなることが確認された.そこで,境界条件として蒸発係数によるMaxwell分布の修正が必要であることを示した. 3.DSMC法による蒸気相の解析:MDで得られた境界条件を用いてDSMC法による解析を行った結果,アルゴン分子の平均凝縮係数は,温度84Kにおいて約0.93,102Kにおいて約0.78となることが分かった。 なお,交付申請時の研究計画のうち,水分子を対象とした解析は実施できなかった.今後の検討課題としたい.
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[Publications] 鶴田 隆治: "Condensation Process at Liquid-Vapor Interface and Condensation Coefficient" Thermal Science and Engineering. 3. 85-90 (1995)
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[Publications] 鶴田 隆治: "分子動力学法による気液界面での凝縮過程の研究" 第32回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 3. 831-832 (1995)
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[Publications] 鶴田 隆治: "分子動力学法による蒸発分子の速度分布解析" 第73期日本機械学会通常総会講演論文集. 3. (1996)
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[Publications] 鶴田 隆治: "分子動力学法による気液界面での凝縮過程の研究(界面温度の影響)" 第33回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 3. (1996)