1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06650308
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
三輪 敬之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (10103615)
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Keywords | コミュニケーション / 情報場 / 生体情報 / 生体システム / エントレインメント / リズム / 生体電位 / 植物 |
Research Abstract |
植物体の構成する葉群間や葉と根の器官相互間、さらには個体集団におけるコミュニケーションを関係論的な観点から論じた例はほとんどない。本研究ではその基礎として、情報的存在として植物を捉え、環境応答や形態形成における要素間の同調的現象の有無などを主として生体電位やリズム運動を計測することにより調べ、コミュニケーションにおける場の形成過程について検討する。また、得られた知見を基に、植物的な生命機械や場の設計について考察することを目的とする。平成6年度交付申請書に記載した研究計画・方法に従い得られた結果は以下の通りである。1.カポックの葉群におけるそれぞれの葉表面の生体電位変化(AC成分)を長期間同時計測したところ、エントレインメント的な同調現象を示す葉が分散して存在することを見出だした。このような同調的現象は葉を切除することによっても起こる。また、電位波形はカオス性を有し、拍子音刺激に引き込まれると、相関次元が約2.5程度に低下することが分かった。2.根の周りに形成される電場が他の根との衝突を回避するための制御情報として働く可能性を3次元振動電極を用いた自動計測装置により見出だした。さらに、植物体の茎、葉と根との環境応答におけるコミュニケーションの有無について調べるため、光、電気、熱、音、傷害などの各種の刺激装置を試作し、上記計測装置に組み込んだ。3.葉と根、花弁など、それぞれの器官の運動を長時間にわたり複数同時計測できる装置を試作した。これにより、根は数分と数時間オーダーの2種類のリズム運動を示すこと、主根と側根の運動には相関があることを見出だした。4.個体間のコミュニケーションについては、16chからなる生体電位計測装置(DC成分)を試作し、樹木を対象とした電位導出方法について各種の検討を行なった。以上の研究を遂行する上で、備品として購入したパーソナルコンピュータを十分に活用した。
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