1995 Fiscal Year Annual Research Report
エネルギー貯蔵装置を用いた多機能制御システムの最適化に関する研究
Project/Area Number |
06650312
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 英一 北海道大学, 工学部, 助手 (10124538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 淳 北海道大学, 工学部, 教授 (40001797)
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Keywords | 電力系統 / エネルギー貯蔵装置 / 多機能制御システム / 最適化 / 系統安定化 / 予防制御 / 電圧無効電力制御 |
Research Abstract |
本研究は、近い将来における電力系統の一構成形態として、従来型の発電設備と基幹送電系統とが上位系統を構成し、負荷とエネルギー貯蔵装置とが多数の下位系統を構成するようなシステムを想定したうえで、各エネルギー貯蔵装置に様々な系統制御機能を担わせることにより、従来設備の負担の軽減をはかるとともに、従来設備だけでは難しかった良質な制御の実現を目的としている。一般に、エネルギー貯蔵装置は、従来の発電設備に比べて比較的自由な制御が可能であると考えられ、また、従来設備と貯蔵装置との協調においても、最も望ましい制御形態が存在するものと考えられる。 今年度は、分散配置されたエネルギー貯蔵装置を用いた制御機能のうち、主として系統安定化制御機能並びに電圧・無効電力制御機能に関して検討を行った。主な研究成果は以下のとおりである。 1.配電用変電所レベルに分散配置されたエネルギー貯蔵装置を利用した系統安定化制御の可能性について基礎的検討を行った。その結果、発電端あるいは送電端側に設置された場合と比較すると効果は限られるものの、事前に発電電力あるいは線路潮流を安全側に変更しておく「予防制御」の導入によって、十分効果が期待できることがわかった。 2.予防制御の観点からシミュレーション用のモデルを作成し、想定事故に対する過渡安定性をエネルギー関数法に基づいて評価した。この過渡安定度指標と運用コストとの重み付き線形和を最小とするように発電機出力の調整を行うためのアルゴリムズを開発した。 3.7機25母線で構成されるモデル系統を用いて試算を行った結果、過渡安定度指標を望ましい値にまで改善するのに、分散型エネルギー貯蔵装置の導入前と比較して約半分程度の運用コストの増加ですむことが確認された。 4.エネルギー貯蔵装置を用いた電圧・無効電力制御に関連して、有効電力制御との協調をとるための基礎的検討を行った。すなわち、調整可能な有効電力と無効電力の比率をパラメータとして制御効果を調べた結果、限界電力を伸ばすうえで最適な比率が存在することが確認された。
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[Publications] 藤井 裕紀: "分散型エネルギー貯蔵システムによる電力輸送力の工場に関する検討" 電気学会電力技術研究会資料. PE95. 51-60 (1995)
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[Publications] 藤井 裕紀: "過渡安定度の観点に基づく分散型SMESの系統内導入評価に関する基礎的検討" 平成7年度電気関係学会北海道支部連合大会講演論文集. 96- (1995)
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[Publications] 田中 英一: "分散型エネルギー貯蔵システムによる電圧安定化制御" 平成7年度電気関係学会北海道支部連合大会講演論文集. 97-98 (1995)