1995 Fiscal Year Annual Research Report
柔軟構造磁気浮上車両における乗り心地改善とロバスト安定化のための研究
Project/Area Number |
06650335
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
中川 聡子 東京電機大学, 工学部, 助教授 (70134898)
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Keywords | 磁気浮上車両 / 軽量化 / 乗り心地 / H∞ロバスト制御 / モデル化誤差 / 重量変動 |
Research Abstract |
従来磁気浮上車の乗り心地の問題は新しい浮上システムの性能を論じるときの一要素として付属的に扱われてきた。その多くは如何なる値のばね・ダンパを選定するかというもので、サスペンションそのものを制御するという思想はなかった。しかし決められたギャップ長を保ちながら安定浮上することと、乗り心地確保は一種のトレードオフの関係があるため、浮上磁石と客室をつなぐサスペンションのアクティブな働き無しにはこれらの両立は望めない。 このような観点から本研究では近年注目されているH∞ロバスト制御の理論展開を用いて、軽量化の図られた磁気浮上車両の「安定浮上と乗り心地改善」のための理論を構築した。これは、乗り心地問題が周波数領域で議論される事とH∞制御が周波数軸上で伝達関数の整形が可能な事との整合性の良さと、柔軟構造車両の高次振動モードや乗客の乗り降りによって生じるモデル化誤差の扱いがH∞制御においては容易であることなどが、本理論を利用するに至った研究の経緯である。 これらの背景のもと、剛性の低い客室のモデル化を行いH∞ロバスト制御理論によりサスペンションの補償器を設計し、車両に登載し、走行シミュレーションを行った結果、良好な浮上特性と乗り心地の改善を得ることができた。また、研究室内の小形装置で空気式アクチュエータを用いたサスペンションの制振制御実験も併せて行った。その結果簡単な周波数重み関数を設定しただけで、振動が30パーセント程度減じられたという結果が得られた。 これら、計算機シミュレーションと振動実験の結果より、H∞制御手法が乗り心地や安定浮上に有効に作用することが確認された。本研究は、電気学会の正論文を始め、国際会議、研究会、学会全国大会などに成果の報告がなされている。
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[Publications] 中川 聡子: "「軽量車両の乗り心地改善とアクチュエータの制御力についての考察」" 電気学会LD研究会. LD94. 25-32p (1994)
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[Publications] 中川 聡子: "「鉄道車両とアクティブ制振制御」" 油空圧技術. 1月号. 40-43p (1995)
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[Publications] 中川 聡子: "「軽量磁気浮上車両の乗り心地改善とロバスト安定性の研究」" 電気学会論文誌D. 115-3. 275-281p (1995)
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[Publications] T. Nakagawa, et al: ""A study of the Ride Comfort on a 3-module type of Magnetically Levitated Vehicle"" LDIA'95. 167-170p (1995)
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[Publications] 中川 聡子: "「リニアドライブと支持機構」" 電気学会論文誌D. 115-6. 674-679p (1995)
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[Publications] 中川 聡子: "「片側3モジュールタイプ磁気浮上車両の乗り心地に関する研究」" 電磁力関連ダイナミクスシンポジウム. 457-460p (1995)